初めてゲームマスターに挑む時の不安には様々なものがあるが、要は「うまくやれるだろうか」という不安である。やる内容、やるレベルが具体化されていないことが、その不安を更に煽ることになる。だから、「GMは楽しいんだ」という説明をいくらしてもあまり役には立たない。不安の解消にならないからだ。(端から見ていて充分な能力があるのに「面白くなさそうだから」と言ってプレイヤー専門に閉じこもっている人をGMに挑戦させるなら、この方法でもよい。が、それはさすがに少数派だろう。)
「意外と簡単だよ」とか「思ったほど難しくなかった」というのが不充分なのは、不安解消にならないから。身の回りにいる具体的な誰かがGMに挑戦し、それなりにセッションをこなしたとして、その人が言うなら効果はある。「ああ、あれでいいんだな」というのが分かるから。だから、GMを増やす一番良い方法は、サークルに新人を増やし続け、その新人に適当なタイミングでGMをやらせて、それを更に新しい新人に見せることだと思う。
「ああ、あれでいいんだな」というのは結構大事で、私も「ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード」の初版を読んだとき、「一体これでどうしろと?」と頭を抱えた記憶がある。その後、きくたけのリプレイ本*1を読んで、「ああ、これでいいんだな」と得心したのでプレイをできるようになったのだが、実は似たようなことを言う人に何人も会っていたりする。要は、変な感じで要求水準を頭の中で上げてしまい、自分にできそうもないや、と萎縮してしまうのが問題。ある程度慣れていてもそういうことは起こるという事例である。まして、初心者においておや。
で、GM初心者向けの話だが、そのためのシナリオは、GM初心者が読んでも「何を」「どの程度」やれば良いのかがはっきり分かることが重要だということになる。残念ながら、トラベラーにはそんなシナリオは無いわけだが、他のシステムだとどうなるだろうか。
*1: ビヨンド・ローズ・トゥ・ロードでわかる実践RPG入門 (ゲームハンドブック・エクストラ)