k-takahashi's blog

個人雑記用

ゲームジャーナル29号

 特集はバルジ。付録ゲームもバルジ。1944年の12月16日が「ラインの守り」作戦の開始でした。日本では12月14日の忠臣蔵が名物ですが、ゲーマーにとってはバルジ。


 付録ゲームは出本秀明氏による「激突!バルジ突破作戦」。補給ポイントを使って支援チット(ランダムに選択される)を手に入れ、チットをユニットに配分するシステム。戦闘の帰趨は、ほぼこのチットによって決まるがどこに何のチットが配置されたかは戦闘が始まるまで明らかにされず、当然のごとくダミーチットも混ざっている。
 補給線が繋がっていないと、新規にチットを配置することができないというシステムになっており、前述の通り、チットがないと事実上無力となってしまう。そのため補給線を通す道路が重要で、道路の集中するサン・ビットやバストーニュが重要になってくる。本ゲームでは都市に防御効果はない。道路が集中する要所だから米軍は堅固に守りを固めたのであり、堅固さはチットの配置によって表現されるという方針からである。


 デザイナーノートには以下のようにある。

多くのバルジゲームにおいて、私が不満に感じていたことの一つに、ゲームの展開が史実と合致しない点がある。
 バルジゲームの典型的な展開は二種類、圧倒的な戦力のドイツ軍がミューズ河までの電撃戦を演じるか、地形障害を楯に米軍が整然と後退し、ぎりぎりの勝利条件を得ようとドイツ軍がバストーニュ等へにじり寄る消耗戦を演じるかの2パータンである。サン・ビットは多くの場合、戦線直線化のため早々に放棄され戦闘の焦点にはならず、バストーニュも又、一撃で陥落してしまうか、整然と戦線に組み込まれてしまうかのどちらかで、、ドイツ軍が包囲したまま前進し、救援を待ちわびると言う史実の展開にはなかなかお目にかかることがない。
 史実のようなバイパーの単独突進などは、最大戦力ユニットの無駄な用法以外のなにものでもなく、もってのほかである。

 上述の補給システムの関係で、交通の要衝である両都市は多くのチットが投入される激戦地となるし、後で補給線を通せばよいので、機甲部隊(パイパーとか)は都市に構わず先行するという展開も期待できるという塩梅。


 座談会のテーマもバルジ。ゲームの場合、「史実でこれくらいで、勝利条件的にどうこうだから」という感じでプレイしてしまい、ドイツ軍がそこそこの進出点で守りに入ったり、連合軍がいきなり引いて守ったりすることが起こりがちと指摘していた。


 柿崎氏のコラムは、バルジネタの「第1SS装甲軍の南方転用は可能だったか?」というところから始まり、戦史分析として可能だったか、ゲームはその作戦を許すべきか、と続ける。そして、許す・許さないがゲームの価値としてどう評価されるべきか、と話を繋いだところで以下次号。