- 作者: 鮎川歩,染谷
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/08/18
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 78回
- この商品を含むブログ (40件) を見る
なので、セーブポイントに戻るため主人公はひたすら自殺を繰り返すという、少々悪趣味な設定。丁寧な死亡シーンが繰り返し描写されるのも趣味悪いと言えば言える。
ループもののポイントの一つが、「解決すべき(だと思っている)問題をどうやって過去の自分に伝えるか」というところなのだが、本書の場合、それは「記憶が残っている」というところであっさりクリアーしている。その代わり、セーブできるのは1カ所だけで、それは自分で決めたものという制限が入っている。となれば、物語の後半は予想ができるわけですけどね。
実際その予想通りに展開するけれども、そこから先は主人公とヒロインの青春もの(かなりビター)になる。その分SF味が薄まってしまっているのは少々残念。
死をゲーム感覚で捉えているというよく分からない批判があるが、それを文字通りに実現してしまった設定とこのエンディングは、ある意味で意趣返しと言えるのかもしれない。