k-takahashi's blog

個人雑記用

クイックセーブ&ロード

クイックセーブ&ロード (ガガガ文庫)

クイックセーブ&ロード (ガガガ文庫)

 いわゆる「時間ループもの」のSF。特徴は、「自分でセーブポイントを決められる」「自分が死ねばセーブポイントに戻れる」「死んだ後にも記憶が残っている」「セーブができるのは1カ所だけ」といったところ。
なので、セーブポイントに戻るため主人公はひたすら自殺を繰り返すという、少々悪趣味な設定。丁寧な死亡シーンが繰り返し描写されるのも趣味悪いと言えば言える。
ループもののポイントの一つが、「解決すべき(だと思っている)問題をどうやって過去の自分に伝えるか」というところなのだが、本書の場合、それは「記憶が残っている」というところであっさりクリアーしている。その代わり、セーブできるのは1カ所だけで、それは自分で決めたものという制限が入っている。となれば、物語の後半は予想ができるわけですけどね。


 実際その予想通りに展開するけれども、そこから先は主人公とヒロインの青春もの(かなりビター)になる。その分SF味が薄まってしまっているのは少々残念。

 死をゲーム感覚で捉えているというよく分からない批判があるが、それを文字通りに実現してしまった設定とこのエンディングは、ある意味で意趣返しと言えるのかもしれない。