- 作者: 南場智子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/08/02
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (7件) を見る
ビッダーズ創業時のごたごたを憶えているような人だと、リアルタイム感溢れる感じで面白く読めると思います。(私もその口)。語り口が面白いので楽しく読めますが、内容は、ベンチャーとしては、普通と言えば普通。ですが、ベンチャーというのは、基本的に創業者社長のこと。DeNAの南場社長(当時)の話だから、面白くないはずはないです。
もちろん、興味深い点も多い。
一つは家庭環境で、割と古いタイプの家父長的な家庭で育ったというところ。よくある話だと、そこから目覚めて飛び出すというストーリーになるけれど、南場さんは、父親をなだめすかして色々うまくやっていくのが面白い。
母親に津田塾がいいぞと吹き込んでもらったり、行ったら行ったで、全学で一人という留学枠を射止めて学科長に父親を説得して貰ったりと、うまいことやってます。就職もコンサルタント会社というのを選んだのだが、大前研一の名前で納得して貰ったりしている。
人をうまく使うところは、こういうところで培ったのかなあ、などと思いながら読んだ。
就職後のことについても、「女性なのでまずは話を聞いてもらうところまでは行きやすい。でもそこから先は実力だ」とすっきり。(津田塾で首席クラスの成績を取った人が頭悪いわけないので、能力を持っているのは前提。)
まあ、ベンチャー経営者が男女差別なんかしている余裕がないというのは当然ではある。
細かい仕事術(効率化)の話題も、失敗談もあるので、それこそ話とかする人は目を通しておくと「あのDeNAの南場さんが……」という感じで使いやすいかと。
コンサルと言えば、
将来起業することを知っていたら、コンサルティング会社ではなく、事業会社で修行したかった、というのが私の偽らざる本音である。(No.1958)
とかいており、一見、コンサルタントに否定的にも見えるが、
コンサルタントは言う人、手伝う人であり、事業リーダーはやる人だから、立場も求められる資質も極端に異なることは理解に難くないにもかかわらず、誤解がはびこっていることは嘆かわしい
(No.1968)
事業者に対してもコンサルに対しても「誤解するな」ということで、
実際に事業をやる立場と同じ気持ちで提案しています、というコンサルタントがいたら、それは無知であり、おごりだ。優秀なコンサルタントは、間違った提案をしても死なない立場にいるからこそ価値のあるアドバイスができることを認識している。
(No.1981)
だそうです。