JPLで火星探索ロボットの開発に携わっている小野雅裕氏の著作。
一千億というのは銀河系内の推定惑星数、八というのは人類が今までに探査を行った惑星の数。「一千億分の八でどこまで分かるのか? 分からないのか」というのがタイトルの意味。
それでも、一千億分の一から二へ、二から三へ、と人類は進んできた。そうした先人達の思いを説くのが第一章(フォンブラウンとコロリョフ)、第二章(マーガレット・ハミルトンとジョン・ハウボルト)。第三章と四章は太陽系内惑星調査の歴史と最新情報。第五章が系外惑星探査とSETI。
なぜそんなものを調べるのかということになる。その理由と方法の原動力が想像力であり、想像力を原動力にした好奇心である。
夕日を見ても太陽に行きたいとは普通は思わないように、月を見ても、知識があっても、そこへ「行く」という発想は簡単に出てくるものではない(No.174)
38万km離れた月の軌道上で、二台の宇宙船が場所と速度をぴったり合わせてランデブーすることが可能だと、どうしてジョン・ハウボルトは信じることができたのだろうか?(No.1102)
熱意溢れるエッセイと最新情報解説が混ざった一冊だけれど、熱意成分の方が多めかな。