k-takahashi's blog

個人雑記用

 ゲームシナリオ入門―基礎知識から設定・キャラクター・プロット・テキストの技法まで

 

ゲームシナリオとは、ゲームのためのシナリオである(No.235)

この身も蓋もない定義からスタートし、

優れたコンピュータゲームは、完成度の高いルール、直観的に理解出来るUI、バランスのいいレベルデザインによって構成されています(No.677)

で、これらによってゲームは体験を提供する。その体験をより面白くするのがシナリオだ、とシナリオの役割を位置づける。

 

次に、体験の魅力を引き出すためには何が必要か、それがドラマである。ドラマは「問題→対立→悩み→決断」に分割され、それぞれに「共感」できるように作っていく。それぞれの中身は……と続く。この後はシナリオの一般的な話をベースにそれをゲームに適用した場合を具体的に色々説明していく。

 

想定している読者は、おそらく若いシナリオライター希望者。なので、具体的に手を動かすことを強く推奨しており、さらに「とにかく一本完成させろ」ということが繰り返しアピールされる。それはきちんとしたフォーマットと、最低限の構造と内容を持つシナリオを「完成させる」ことが実際には難しいということの裏返しなのだろう。

 

ということで、Tips的にも色々面白いので、以下備忘録。

ドラマが足りないと感じたら特殊ルールを導入してみること。
そしてドラマが弱いと感じたら賞罰を設定して「劇場型」にすることです。(No.1935)

よく動くキャラクターとは次の行動を容易に想像できるキャラクター(No.2324)

欲求と動機は、行動の両輪です。動くキャラクターには確かな欲求ー「○○たい」があります。そして、「○○たい」には必ず、セットとなる動機 ー「○○から」が存在します。(No.2396)

 

相棒の機能は、主人公の「行動」と「魅力」を引き出すことです。
(中略)
ポイントは「主人公の魅力と真逆の要素を設定する」ことです。(No.2671)

援助者は主人公が挫折し、物語の進行が停止しそうになったときに登場します。物語の要所で重要な役割を果たすわけです。
そんな援助者は相棒と違って、主人公に同行する必要がありません。(No.2724)

 

欲求は力強く、動機は具体的に、目的は要求の延長線上に置く。(No.2871)

好奇心を刺激して興味を引きつけ、未来を期待させることで継続的な関心につなげ、感情を動かすドラマで満足感を与える。それが魅力的な個性を備えたキャラクターです。
上記の要素を満たすキャラクターを作るヒントは「極端」「希少」「未知」「秘密」「違和感」の5つです。 (No.3207)

大原則として、つかみには必ず主人公の情報を入れるようにしてください。なぜなら、物語とは「主人公がなにを求めて行動し、どのような困難を乗り越えて目的を達成するか」を語るものだからです。
もっとも、これは4章でキャラクターを作っていれば特に問題にはなりません。あなたのキャラクターには確かな目的と動機と欲求があります。あとはどのような困難と結末を与えるかを決めれば物語は完成します。
結末については、現時点での要点は1つだけです。それは「目的が達成されるかどうかを言い切りの形で書く」ことです。(No.3550)

 

セリフの3原則
・物語を前進させる
・キャラクター性を出す
・情報を伝える
全てのセリフには、3つの原則のうち、最低1つが含まれていなければなりません。
最優先は「物語を前進させる」ことです。なるべく物語に関係のない、無駄なセリフは省きましょう.
間違ったサービス精神で、にぎやかしのセリフをたくさん書くのはありがちな失敗です。脇道に逸れて本筋が頭に入ってこないようでは、本末転倒です。(No.5388)

ドラマを書くというのは、感情をかくこととイコールなのです。ドラマを表現するのは台詞ですから、当然、台詞は感情で書かれていなければなりません。感情のない台詞にドラマは宿らないのです。
淡々とした情報の交換にならないよう、キャラの感情を表現する台詞をこころがけてください(No.5441)

「果物を取ってきて」より「テカテカのリンゴを取ってきて」と言うほうが伝わる情報が増します。「財布を拾った」より「ルイ・ヴィトンの長財布を拾った」、「古いアパート」より「築八十年の木造アパート」です。情報に具体性を加え、受け手に伝わる印象を強めましょう。(No.5469)