タイトルにある「グラーキ」はクトゥルー系の創作やゲームにもよく出てくるが、肝心の出典であるキャンベルの和訳はまとまっていなかった。それを研究家の森瀬繚氏がクラファンで立ち上げたのが本企画。
ラムジー・キャンベルはダーレスに見出された作家で、1946年生まれ。当然、直接HPLとの交流はない。
2冊で21作品。60年代の作品が中心。現代風というよりは古風な雰囲気を漂わせ、HPLの諸作品ほどクラシカルでもない独特の感じがある。翻訳や背景のせいもあるのだろうが、HPLよりも読みやすいように感じた。HPLトリビュートとして書かれた作品もある。
セヴァン・ヴァレー(HPLで言えば、アーカムというかプロビデンスというか)という統一舞台を使っているので、連作作品集のような感じで読んだ。特定のお気に入りの作品というより、全体で一つの雰囲気を作っている感じ。
第一印象は、「窖」が多かった、かな。
ともあれ、よく出してくれたなと感謝の2冊。