著者のJesse Terrance Danielsは、"Hibernation"というゲームで知られるデザイナー。
彼が初心者向けに「ボードゲームを作ってみよう」ということで色々と紹介している一冊。
想定しているゲームはこういうイメージなんだな、と。
自分でゲームを作ろうと考えている人向けに、メカニクスごとに解説するスタイル。ゲームを作る考え方の説明はあまりなく、メカニクスを次々紹介していくので、全くの初心者だとおそらく何を言っているか分からないだろう。
ゲームを作ろうと思うぐらいの人ならこれでいいという判断だろうが、もう少し噛み砕いた方がいいかなと思う。「ゲームメカニクス大全」みたいに事典的にまとめてしまう方がむしろ分かりやすい。
最後にゲームの事例が4つ紹介されているのだが、これ構成的には前半に持ってきた方が良かったかもと思った。が、正直なところどういう構成がいいのかは判断付かなかった。(まず、既存ゲームの改造から始めるのかなとか、あるいはゲームが入手出来ないので自分で作ることにしたなのかもしれないし)
あとは読んでいて興味深かったところを幾つか。
ターンは、一度に1人のプレイヤーまたは1つのチームに与えられる手番です。ラウンドとは、すべてのプレイヤーまたはチームが1ターンずつ終えることを言います。(p.29)
クラシカルなシミュレーションゲームの作法だと、ターンが時間の区切りで、その下に書くプレイヤーのフェイズがあるという構成を想像するのだが、昨今はターンは1プレイヤーの一群の手順で、これがプレイヤー間を回っていく(ラウンド)というわけね。非対称が当然とされるシミュレーションゲームと、基本的には平等なモダンボードゲームとで捉え方が違う。
クリティカルヒット(決定的な成功)とクリティカルフェイル(決定的な失敗)のメカニクスがあります。プレイヤーがダイスを振ったとき、ある特定の数字が出たら特別によい結果が得られるか、ものすごく悪い結果になると決めておくのです。(p.58)
クリティカルヒットとクリティカルフェイルという用語はやや違和感。クリティカルサクセスとクリティカルフェイルとしない理由はなんだろう? 日本だとクリティカル/ファンブルが一般的。
現在のウォーゲームは、フィギュアに能力を与え、スカーミッシュ(小戦闘)を発生させる設定を考えると、ロールプレイングという大きなくくりの中に入ると言えます。(p.88)
これも非シミュレーションゲーム系の人はこう見ているんだな、という点で興味深かった。