k-takahashi's blog

個人雑記用

こども家庭庁創設という波乱の舞台裏

 

2021年1月24日に「こども庁」の創設を菅総理に提案、それが1年半で実現するに当たり、どのような経緯があり、どのような障害があり、どのような妥協があり、といったことを当事者である山田議員が紹介している。

 

政策を実現するとはという手順が具体的に書かれており、政治とかの具体的な手順に興味のある人にはお薦め。ときどき変な法律、変な条例、変な条約が作られようとしたる、作られてしまったりして問題になるが、「こども庁」の場合には省庁を新設するという大作業が必要となる(デジ庁も同様のわけで、こちらも当事者がこういう本を書いてくれると面白いのだが)。そういう意味でも「大きな」話となっている。

公約に書き込むための時間制限を意識して動いたり、総裁選を見越して地方議員の巻き込みを図ったり(地方議員票は無視できないとの作戦)。幼保一元化の議論は、これは誰かが便乗して流したのかなとも思うが、そういうのに巻き込まれないような注意もしている。

 

名称についても色々あったのだが、そのベースには家庭での虐待問題がある。

「家庭という場所は、私や周囲の同じ経験をした仲間にとっては地獄だった」とも話しました。そしてその際に、「だから『こども家庭庁』ではなく、『こども庁』ではだめですか?」(No.785)

という事例がある。なので本来ならこども問題に一元的に対応するこの組織の名称に「家庭」を混ぜるべきではない。それでも「こども家庭庁」にしろということになってしまう。ここでは「名前より中身」と割り切って妥協している。

 

一つ不思議だったのがこども基本法周りで、この法律が悪用されるという懸念に対する対応が遅かったこと。女性の人権を口実にした表現規制・思想弾圧を目の当たりにしてきたはずの山田議員が、なぜここへの配慮が後手に回ったのか。表立って言わないのはともかく、そういう懸念に備えていなかったというのは奇妙に感じた。(単純に忙しくて手が回らなかったのか、予想外のところから何かあったのか)