チップチューンのすべて All About Chiptune: ゲーム機から生まれた新しい音楽
- 作者: 田中治久(hally)
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2017/05/11
- メディア: 単行本
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読んでいると、色々と断片的な知識がつながってきて面白い。(なるほど、あのエピソードってこういう位置づけなのか、という感じ) 日本と米国と欧州とでそれぞれ異なった発展の仕方をしてきたが、その違いがなぜ生じたかも説明してくれる。
いわゆる「ピコピコ音」は音楽と言えるのか? という課題も常につきまとっていた。おそらく、今もそうだろう。シンセサイザーを音楽(芸術)とみなさない人は今では少数派だろうが、内蔵音源チップの奏でるサウンドを音楽(芸術)と認めない人は今でも少なくないだろう。
ゲームミュージックとゲーム内蔵音源チップを用いた音楽との微妙な距離感も、いまだ緊張関係が無いとはいえまい。
音源チップを使うことを前提にオリジナルの曲を作るというのが、実は非常に画期的な考え方だったというも改めて認識できた。(やられたときに葬送行進曲をかけるのと、オリジナル曲を作るのとは違うということ。そして、その境目にインベーダーゲームの行進音が入ってくる)
正直なところ、クラブ文化とかはよくわからないので、そこでの受容がどうこうという辺りは、「そうなんだ」くらいの感想になってしまう。
私個人はFM音源チップをいじってみたけれどよくわからずに挫折した口なので、そこで腕を磨いていった人たちのエピソードには感心するばかり。
技術的には、音源チップ以前のエピソード群が愉快だった。コンピュータの動作をAMラジオで拾ってモニタ用に使っていたのが、音楽出力になったとか、周辺機器が音を立てると、それを制御して音楽にしようとしたとか。