k-takahashi's blog

個人雑記用

ガンプラ開発真話

ガンプラ開発真話

ガンプラ開発真話

 「ガンダムモデル進化論*1」がガンプラの通史解説だとすると、本書はガンプラ勃興期の解説本ということになるだろうか。あくまでもバンダイ模型にターゲットをあて、時期的にも80年代前半に集中している。

 思想論的には、スケールモデルからキャラクターモデルへのパラダイムシフト論、ということになるのだろう。スケールモデルをある程度作り尽くしてしまった人が行き先を捜していたこととキャラクターモデルから入った初心者とが共にガンプラを求めていたことがメインストリームの変化に繋がったとかそういう話。その観点からは、バンダイスーパーカーブームに乗り遅れたこと(スケールモデルのキャラクター化への抵抗感とその裏にある階級意識)や、1/144というサイズの意味(これはスケールモデルと同列になることを意味する)などのエピソードが重要であるといえる。

 その後、スケールモデル技術のガンプラへの導入と、その超越といったエピソードも語られ、プラモデルの主流がガンプラになったことが示される。(その意味で、ミリタリーガンダム路線というのは実に重要だった。著者等の身贔屓の部分はあるにせよ、モデラーがそこをある程度引っ張ったのは事実だろう。)

 他にも、ガンプラ草創期の生産にまつわるエピソードやパッケージデザイン(こちらでもスケールモデルからの移行の様子がうかがえる)が面白い。

 ガンプラ現役バリバリの人は本書から読むと良いと思う。そうでない人は「進化論」を先に読んだ方が分かり易いかな。ま、どちらも良い本なのでお薦め。


 ちなみに、著者等の強烈な自負が「はじめに」の部分に現れている。

本書を執筆するにあたって、四半世紀前の状況をあらためて調べいると、実は自分が大変な思い違いをしていることに気づかされた。「ガンダムは視聴率が低かったために途中打ち切り」となったわけではなかったのだ。初回放映時こそ低かった視聴率だが、次第に上昇していく。そして、平均視聴率は名古屋地区で9.1%、関東地区においても5.3%となったのである。この数字は決して”視聴率低迷”とは言えない。
(中略)
”放映途中打ち切り”という憂き目にあったのは、番組スポンサーである株式会社クローバーのダイカスト製玩具の完成度が低くファンからそっぽを向かれ、市場で大惨敗となったためであった。(pp.1-2)

*1:

ガンダム・モデル進化論 (祥伝社新書 (004))

ガンダム・モデル進化論 (祥伝社新書 (004))