- 作者: マーチン・ファンクレフェルト,Martin van Creveld,佐藤佐三郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 232回
- この商品を含むブログ (75件) を見る
ロジスティックスの古典と言われる名著。先日復刻の運びとなったので早速購入。(学生の頃、図書館から借りて読んだんだよなあ。)
クレフェルトはまず、根拠のない通説を批判するところか始める。ナポレオンやモルトケが実際にロジスティックスについて何を試み、何を行い、何をなしえなかったかを分析する。例えば、モルトケは鉄道を補給に有効活用したとされているが、実際には、初期の展開以外にはほとんど役に立たなかったことなどが、具体的に示される。
実のところ、略奪(現地調達)という手段が廃れた理由は、戦法の変化により弾薬の消費量の方が食料の消費量より多くなり、つまり現地調達では軍がなりたたなくなったことであって、それ以前は略奪の方が有効だったというわけだ。
そういったクレフェルトの分析が、現在どう扱われているのかは不勉強にして知らないのだが(モルトケはさすがにあまり日本ではお目にかからない。ロンメルや大陸反攻作戦後の連合軍の話であれば、色々と目にすることは多いが。)どうなっているのだろうか。
30年戦争当時の軍の動きが、補給路(河川)に縛られている一方、ナポレオンが意外と略奪のために進路を決めていたりするというのも面白い。 19世紀西洋史に関心のある人にも、この辺りはお薦め。
「パン焼き職人を連れてきて・・・」なんてのも、面白い(当事者にとっては深刻だが。)