負けない交渉術

負けない交渉術―アメリカで百戦錬磨の日本人弁護士が教える

　凄腕弁護士というと、ごり押しや揚げ足取り、法律知識などを悪用しての勝手三昧というイメージが（私には）あるのですが、そんなイメージを払拭してくれる一冊。Win&Winの関係を築くためには、きちんと交渉しなくてはいけないよ、その交渉術を説明するよ、というスタンスで書かれている。なので、典型的な日本人にもすんなりと受け入れやすくなっている。この辺は、多くの日系企業を顧客として抱えているという点が生かされている。

　基本的な内容はオーソドックスな交渉術で、それほど突飛なものではない。しかし、それを分かりやすく、受け入れやすく、納得しやすくまとめているのが本書の特徴。「これをやったら失敗しますよ」というのを説得するのに向いている。

　個人的に一番面白い表現だな、と思ったのが以下の部分

「ノー」と言うな、「イエス・イフ」と言え
「イエス」の場合も、やはり「イエス・イフ」と言え

「交渉人に『ノー』という言葉はない」というが、ではどうするのかというのを分かりやすく説明してくれる。本書を読んだからと言って交渉が旨くなるかどうかは分からないが、気持ちよく交渉をできるようになると思う。お薦め。