k-takahashi's blog

個人雑記用

戦車将軍グデーリアン

 

 大木毅先生の著作、前作がロンメルで本作がグデーリアン。あと、マンシュタインが続くのかな。

ロンメルとの最大の違いは、グデーリアンは上流階級出身というところ。加えて陸軍幼年舎で教育を受け(学費が高いというのもあるし、なんと従者が付く)ている。

本書の内容はおおざっぱに言えば、「グデーリアンの功績は、彼が回想録で述べているほど突出したものではなく、またナチスの人道犯罪に対しても批判的ではなかった」といったところ。あとは、彼の戦略眼の不足についても度々言及している。

とはいえ、作戦能力の高さと、なんといっても装甲部隊を実現させた実行力についてはやはりたいしたものということになる。

 

本人が言っているほど周囲が無理解に満ちていたわけではないことは本書にも書かれているが、それでもあれだけ上司や同僚と衝突していく中で色々実現していったのはやはり凄いなとは思う。(マンシュタインとの仲は、私が思っていた以上に悪かったみたいだ)

ただ、正規の教育を受けたわりには戦略眼が弱いというのはある。戦車に目がくらんだあまり他をないがしろにしたという面はあるんだろう。それが、実現力と表裏一体だったとしても。(ただ、これグデーリアンがという以上に、当時のドイツ軍がというところがあったのではないだろうか。ソ連の作戦術というのは大木先生が色々書かれているけれど、米英はどうだったんだろう?)