- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: 単行本
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ここ10年ほどに行われたいくつかの改革が必要だった理由とそれを実現するまでの苦労を語っている。財政投融資改革、特殊法人改革、不良債権処理、政策金融改革、道路公団問題、郵政改革、地方分権問題、埋蔵金問題、公務員制度改革、年金改革、とまあ、あるはあるは。
私は経済はよく分からないので、著者の主張が正しいかどうかは判断できない。しかし、問題点の指摘とその論拠は分かりやすく述べられているので、議論になったときに、著書側と反対側との主張を比較することはできそうに思う。改革が停滞している今、何がどういう理由で求められ、何が未解決なのかを、知っておくのは悪くないだろう。政局とか、善悪論とかでなく、教養として。
本書で描かれている官僚システムの弊害は目を覆わんばかり。にわかには信じがたい話だ。そして、おそらくは、やや誇張気味に描いているのだと思う。それはタイトルが煽りを含んでいることからも分かる。
一方で、本書で描写されている官僚の手口の幾つかは、私の狭い範囲の知識と経験からも「ああ、あるね」「それは、そうだろう」と思えるもので、かなりリアリティに溢れている。
本書の感想をウェブで探すと、反論を期待する声がいくつかある。おそらくは、本書での解説が割り切りすぎかもしれないとピンと来たのだろう。一方で、本書の議論はかなりきちんとしたものであり、一読しておかしく感じる部分が少ないから直接どこが気になる的な主張はしていない人が多い。(もちろん、数値をきちんと用いた議論が素人では無理だから、というのもある。)
しかし、政治的にセンシティブな部分があるというのは分かるが、あまりにも国民への正しい情報提供が少なすぎる、という主張は妥当。その意味からも、反論を期待したいということなんだろうし、私もそう思う。
専門知識が無くても読めます。官僚組織のダークサイドを創作のネタにするために読むというのでもいいと思いますよ。