k-takahashi's blog

個人雑記用

インド特集:貧困ビジネス

 連休中に放映されていたNHKスペシャル「インド」の第1回目をビデオ鑑賞。サブタイトルは「第1回:“貧困層”を狙え〜過熱する超低価格ビジネス〜」。http://www.nhk.or.jp/special/onair/080720.html


 前半は、ユニリーバ社による貧困層向けの小容量低価格商品。1回分1ルピーという商品を農村部に売り込もうという話。まず、石鹸で手を洗う習慣の説明から始める。学校に出かけていき子供に紙芝居などを使って説明。他にメディアの無い農村地域では、子供が学校で学んだことを家族に説明するのが重要なメディアなのでそこに目を付けた作戦。実際の流通には、地元ネットワークをベースにした女性販売員を活用する。
こうして書くと資本主義の権化のように見えるし、もちろんその要素はあると思う。ただ、衛生習慣の普及が良いことなのは事実だし、女性販売員も、学校にも通わせて貰えなかった女性が、自分の力で商売を行い、伝票を書き、お金を儲けるとなると、これは多分良いことなのだと思う。


 後半は、農民向けショッピングモール。なぜこんなものが成り立つのか。
 農民が売るのは穀物穀物を公設市場で売買すると仲買人がいいように値段を決めてしまい、農民は安く買いたたかれ、商社は高く買わされてしまう。そこで、ある商社は、農村にインターネット端末を置き、そこに公設市場の価格と自分達の買い取り価格を提示する仕組みを準備し、公設市場よりも高い価格を提示した。思惑通り農民は商社の方に穀物を売ってくれるようになった。農民の収入は増え、商社もトータルではコストを抑えることができる。
 さらに、この商社は、買い取り場の隣にショッピングモールを併設し、農民達が消費財を買える仕組みを整えた。
 「収入が増えて、カラーテレビが買えたのよ」と嬉しそうに語るお母さん。故障しませんようにとお祈りをして家族で楽しそうにテレビを見ている光景が実にほほえましい。


 このインターネット端末なのだが、電話も電気も無い農村に置かなくてはならないため、衛星回線と太陽電池を利用したシステムを村の集会場に設置している。どの程度の情報までアクセスできるのかは知らないが、ここで不正をしたらすぐにばれるし、不正をする必要もない。
 たしか、アフリカでは似たようなシステムをGSMのSMSベースで構築した事例があったはずで、やはり、情報を公開することで貧困層からの搾取を抑制し、収入を増加させることができたと聞いている。


 自分でお金を儲けることができたという販売員の女性も、テレビが買えたと喜んでいるお母さんも、本当に嬉しそうなんですよ。正しく機能した資本主義のパワーは、やはり凄まじい。