k-takahashi's blog

個人雑記用

信長から乙女ゲームまで

コーエーシブサワ・コウ(襟川陽一氏)と襟川恵子会長のインタビュー。シブサワさんの方はだいたい予想通りの内容(うんうん、そうだよねえ、という感じ)なんだけど、恵子会長のエピソード群が面白すぎる。

恵子氏:
 でも、価格を聞いて、ビックリしてしまって……。だって、当時のマイコンは、周辺機器もあわせると40万円以上したんです。
 ただ、私は小さいときから親戚にもらったお小遣いを貯め込んでいるような子供で、学生時代から自分で仕事や投資もやっていたので、貯金だけはたっぷりありました。そこで、彼のお誕生日にマイコンをプレゼントをしたんです。

信長から乙女ゲームまで… シブサワ・コウとその妻が語るコーエー立志伝 「世界初ばかりだとユーザーに怒られた(笑)」

恵子氏:
 ただ、広告の掲載料が高くて、まともには払えませんでした。雑誌の広告って、ときどき空いてしまうことがあって、そういうときに格安で掲載してもらおうと、色んな雑誌に版下だけ送っておいて、「いくら以下の価格になったら、この広告を掲載してくださいね」とお願いしておいたんです。

信長から乙女ゲームまで… シブサワ・コウとその妻が語るコーエー立志伝 「世界初ばかりだとユーザーに怒られた(笑)」

恵子氏:
 そうです。そうして呼びつけた上で、昼食会の席上で私は「コーエーのゲームは、現金で全て先払いでお願いします」と言ったんですね。
佐藤氏:
 えええ(笑)。
恵子氏:
 そうしたら、もうその場にいた人たちの怒ったこと、怒ったこと。「コーエーはうちより信用調査が悪い。うちを銀行と思っているのか」と叱られたり。

信長から乙女ゲームまで… シブサワ・コウとその妻が語るコーエー立志伝 「世界初ばかりだとユーザーに怒られた(笑)」


アンジェリーク関係の発言も

恵子氏:
 『アンジェリーク』(※)ですね。女性向けのゲーム自体はもう、コーエーがゲームを作りはじめた当初から、ずっと作りたかったのです。

信長から乙女ゲームまで… シブサワ・コウとその妻が語るコーエー立志伝 「世界初ばかりだとユーザーに怒られた(笑)」

 ただ、当時は社員が男性しかいなかったので、それでは女心はわからない。ですから、私は女性を採用しました。でも、当時の女性社員はすぐに結婚して、退職してしまったので……結局、『アンジェリーク』を発売するまでに10年かかりましたね。
――10年がかりだったんですか……。
恵子氏:
 90年代になって、やっと女性たちのチームが作れたので、「ルビー・パーティ」と名づけて開発をはじめました。
 私は、まず徹底的に女性に寄せたゲームを作ることにしたんです。守護聖様は、ギリシャ神話を題材にして、女性向けにとにかくピンクを多用して、主人公もガーリーな子にしたりしてできたのが『アンジェリーク』です。

信長から乙女ゲームまで… シブサワ・コウとその妻が語るコーエー立志伝 「世界初ばかりだとユーザーに怒られた(笑)」

恵子氏:
 はい。ただ、『アンジェリーク』の世界観は、途中から変わっていったんです。初めての女性たちのゲーム制作は未熟でした。競い合うシステムが作れず、最終的にはシブサワ・コウに入ってもらい、女王候補が二人で惑星を育成し、守護聖様に助けられながら競い合うというゲーム部分を作ってもらいました。
陽一氏:
 まあ、私には女性の方が喜ぶような甘ったるい言葉は作れませんが、ゲームであれば作れますからね(笑)。

信長から乙女ゲームまで… シブサワ・コウとその妻が語るコーエー立志伝 「世界初ばかりだとユーザーに怒られた(笑)」

初代アンジェリークのシステムが、フレーバーテキストやイラストからは想像できない小選挙区制の選挙シミュレーションだったのもこれで納得。(守護聖様を支持団体とみなすとこうなる。支持団体に挨拶に行って支持を固めたり、支持団体に上下関係があったり、支持団体同士の仲が良いとプラスの影響が出たり、支持団体が活動援助してくれたりする。そして最終的には票はひとつでどちらかになる)
しかし、10年がかりということはアンジェリークが94年だから84年頃。『三国誌』が出る前、『オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか』を作っていた頃から企画(というか構想だな)が始まっていたというわけか。メディアミックスも恵子会長の最初からの狙いだったと。