k-takahashi's blog

個人雑記用

『ダンジョンズ&ドリーマーズ』についての若干の補足

ggincさんのエントリーは、関連ゲーム年表もある面白いものです。ご興味のある向きは是非ご一読を。(http://d.hatena.ne.jp/gginc/20090324/1237911970)
 で、折角ですので、私の知る限りで若干の援護射撃。

Rogurlike の話がない

 あとは、初期のコンピュータゲーム(いわゆるマイコンを含む)として、筆頭にあげられる「スタートレック」への言及も、あの本には無いですね。どちらも、独自インプリや独自改造が山のようにあるゲーム群でした。
 他に言及が落ちているゲームとしては、Diabloがあります(売り上げの話でちょこっとだけ出てきます)。Diabloは協力型としても対戦型としても一世を風靡したのですが、トラブルも色々ありました。 (正直、Diabloへの言及がないのはかなり不思議だったりします。)

UltimaとWiz

 多分、著者達は単純に知らないのだろうと思います。Wizは「V」以降すっかり影が薄くなりましたから。1990年代以降だとあまり表には出てこなくなりました。それを言ったら、Ultimaだって、92年の「VII」以降は影が薄かったんですよ。たまたま、UOで復活しただけで、そうでなければ同じような扱いだったでしょう。

ロー・アダムス

 こちらも著者達が単純に知らないのだろうと思います。アダムスはWiz-IVのあとにゲーム業界を離れ、アニメ業界に転じます。もともとアニメファンだったのですが、コンピュータで字幕を付けるシステムを開発して、それで日本アニメに字幕をつけてアメリカのマニア向けに売り込むビジネスです。(http://www.animeigo.com/)この会社が1988年設立で、その後彼はゲームにはほとんど関わっていないはずです。

 あと、当時のアダムスの扱いですが、雑誌の編集長をしながら、色々なゲームの手伝いをしていました。1980年代後半に3大CRPGと言えば、WizardryUltima、そしてBard'sTaleでしたが、その全てに関わっています。知恵袋的に大きな影響を与えていたのか、単に露出が上手い何でも屋だったのかは、ちょっと分かりません。 安田先生はあまり言及していなかったと思います。

1990年代に入ってから、ギャリオット式のRPGは飽きられ

 90年代になると、リアルタイム処理や3D処理がようやくものになってきたんですよ。フライト系(実機もSFも)を筆頭にシミュレータ系のゲームが人気を博していました。繋いでリアルタイム対戦というのも空戦系であったと思います。
 ウルティマはトレンドに上手く乗れなかったので一時的に関心が下がるのはやむを得ないでしょう。(ウルティマアンダーワールドシリーズに注力していたら、また展開は違ったかもしれません。ただ、当時のウルティマに「対人」をうまく組み込めたかというと個人的には疑問に思います。)

ウィル・ライト

 本書のとらえ方だと、うまくウィル・ライトを扱えないのだと思います。もともと派手な人ではないようですし。
 バンゲリング・ベイはともかく、シム・シティのインパクトはものすごかったです。そして、シム・シティのヒットとその後のシム・アースのおかげで、ウィル・ライトは狭義のゲーム業界の「外」と広く繋がりを持っていました。これは「ダンジョンズ&ドリーマーズ」の提供するストーリーとは大きく異なっています。なので、本書からだと孤高っぽくなってしまうのでしょう。
 なお、現在において、環境を整えユーザに多くを委ねるというスタイルは、ウェブ時代やUGCといったものとの相性も良いものです。シムズシリーズの人気の源泉でしょう。もし、著者等が2009年に本書と同じ企画を立てたら、スポットを当てるのはリチャード・ギャリオットではなくウィル・ライトになっているのではないか、と思いますよ。