k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究2009年10月号

軍事研究 2009年 10月号 [雑誌]

軍事研究 2009年 10月号 [雑誌]

 一番興味深かったのが「誕生した民間軍事会社の国際的管理組織」(阿部琢磨)。2008年9月に17カ国の間で合意された民間軍事会社に関する行動規制の指針「モントルー指針」の紹介記事。(報道記事はhttp://www.47news.jp/CN/200809/CN2008091801000399.html )
 初の国際指針でPMSCs(Private Military and Security Companies)と関わりの深い17カ国が採択(ロシアは承認せず)したもの。各種国際法の遵守を強調し、悪質なものについては裁判・処罰の可能性も記載している。また責任を負う国を3つに区分(契約国(任務を依頼した国)、業務実施国(活動を行う国)、拠点国(PMSCsの本部が登録されている国)の3つ)し、責任や権限の範囲を定めている。
 記事では、この指針採択に至るまでの経緯や問題点も整理している。イラクでのPMSCsの暴走を制御できなかったというのがそもそもの問題だった。現在活動しているのはIPOA(http://www.ipoaworld.org/eng/)とBAPSC(http://www.bapsc.org.uk/)で、記事を読む限りでは前向きにしっかり活動しているようだ。いずれ、きちんとした国際条約へと進むのだろうな。
 モントルー指針の文書自体の和訳はウェブでも見つからなかった。原文は国際赤十字のページに載っていました。http://www.icrc.org/web/eng/siteeng0.nsf/htmlall/montreux-document-170908



 例のオバマ大統領の「核廃絶」発言に関連して、「弾道弾に代わる非核攻撃ミサイルCSM」(岡部いさく)という記事が載っている。
CSMはConventional Strike Missileのことで、ICBM級の射程を持ち、精密誘導によって滑空体を目標にぶつけるもの。1時間以内に地球上の任意の場所を攻撃可能で、従来のICBMとは異なる軌道をとることで、核攻撃との混同を防ぐ。敵が変わったのだから有効な兵器も変わるということなのだろう。

核なき世界への道は、新しい兵器システム・軍事技術によって舗装されている

とはよくいったもので。


 菊池雅之氏の陸自レポートに「駐屯地食堂で食べる 吉野家の牛丼」という章があった。アウトソースの一環として食事を吉野家に外注したそうなのだが、これが「自己完結性」に悪影響を及ぼすのではないかという指摘があった。それで災害派遣などの際に大丈夫かというもので、たしかにそれは考えたことがなかった。食事は大事だしね。
 安易なアウトソーシングで失敗した、などというのは民間企業ではよく聞く話だが、自衛隊は大丈夫なんだろうか。



ほかにも幾つか。
陸自の広報誌で「フォトオブザイヤー2009」が掲載されている。名物カメラマン(陸曹)が第12旅団から中央即応連隊に転勤になったので、そっちの写真のレベルも上がったそうです。

中国が宮古島を狙う理由の中に、3000m級の滑走路があるということが紹介されていた。台湾侵攻の前に押さえておきたくなるわけだ。

いわゆる真珠湾におけるルーズベルトの陰謀について、

真珠湾論争に関連する英文文献は数多く存在しているが、日本で行われている真珠湾論争の盲点は、主に日本語で刊行された文献に固執しがちであり、言語的な障害がたちはだかっていることである。特に出版業界の諸事情などから、優れた専門的な研究文献は翻訳されず、より広範囲な読者にアピールできる書物が翻訳される傾向にある。つまり、察しの良い読者なら気づくと思うが、英文から日本語へ翻訳されているいわゆる真珠湾モノは、ほとんどが陰謀説を示唆するモノに偏っており、一般読者向けにインパクトを与えるモノが好まれて翻訳されている(p.220)