ディスカバリーチャンネルの番組。原題は "Crashes That changed flying"で、前後編。
過去に起こった飛行機事故の紹介、その原因の分析、そして対策。これらをオムニバス的にまとめたもの。全部で10件の事故が扱われている。
Delta191
着陸寸前の航空機が急にコントロールを失い墜落した事故。ウィンドシア現象(悪天候時の下降気流)が原因だったが、さらに分析した結果マイクロバーストという局地的一時的現象が原因と判明。対策は、レーダーの開発とトレーニングの改善。着陸間近に遭遇した場合、直ちに着陸を諦めて上昇すれば墜落は避けられるのだ
Aloha243
飛行中に天井が吹っ飛んだ有名な事故。金属疲労で発生した亀裂が原因。検査方法の改善を図り、年月を経て携帯可能な検査装置の開発に成功。
TWA800
飛行中に爆発、墜落。ブラックボックスには何の異常も記録されておらず原因究明は難航した。破片を集めて調査したところ、燃料タンクの爆発と判明。ほぼ空のタンクがエアコンの放熱器で加熱され燃料が気化。そこに電気のスパークで引火が原因と分かった。対策は、不燃性ガスをタンクに入れること。コストとの兼ね合いで開発は難航したが、外気から窒素のみを抽出してタンクに充填する装置の開発に成功。
AA965
コロンビアの山腹に衝突。レーダー高度計による解決が試みられるも、これは真下しか計測できず山腹衝突には間に合わない。後日、旧ソ連が公開したデータとGPSを組み合わせたシステムが開発され、危険が早い段階で警告できるようになった。
AF4590
これはパリでのコンコルド事故。金属片がタイヤを破損し、その破片が燃料タンクを直撃して燃料が漏れ出し引火したもの。コンコルドはすでに退役したが、対策となったタイヤと燃料タンクの強化策は、現在でも利用されている。
AVANCA052
不時着で多数の死者が出た事故。実は座席の強度が不十分で、座席ごと投げだされてしまったことで死者が増えていた。原因は座席の固定強度が衝撃に耐えられなかったこと。つまりはテスト漏れ。新しい仕組みの座席が開発された。
AEROMEXICO 498
ロサンゼルスでの空中衝突事故。当時は目視で避けることを想定していたが、詳しく実験した結果、それでは間に合わないことが判明。航空機同士が連絡し合う衝突防止装置(TCAS)が開発され、現在では搭載が義務づけられている。
AmericanAirline1420
滑走路オーバーラン。まずはセーフティーゾーンを広く取る勧告が出たが、立地条件によってはそれができない空港もある。そこで開発されたのがフォームクリート。一見普通のコンクリートだが航空機の重量がかかるとぼろぼろと崩れて、いわば砂地のようになって飛行機を制動する。飛行機を壊さない絶妙の堅さをもっており、すでに多くの実績がある。
SWISAIR 111
電気系統からの火災事故。不燃材でケーブルがカバーされているはずだったが、調査してみると不燃材と思っていた素材が燃えることが判明。さらに安全な素材に変更となった。
USAIR1493
着陸したところで離陸待ちの別航空機に衝突。管理ミスが原因。現在では面探索レーダーというものが開発されており、地上に居る航空機もすべて管制塔で位置まできちんと管理できているそうだ。
こういうサイクルがきちんと回っているんだな、というのが分かる番組でした。