- 作者: 勝間和代,宮崎哲弥,飯田泰之
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/02/17
- メディア: 新書
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(p.210)
ということなので。
デフレの何が悪いのか、国は何ができて何をするべきなのか、その根拠はどんなものか、を解説している。解説しているのはほとんど飯田先生ですね。正直なところ、根拠が正当かどうかの判断はつきません。が、本書が提示した疑問に、日銀や財務省、政府はなんらかの回答をする必要はあるでしょう。その回答を聞く前に読んでおくと、きっと楽しいと思う。
今のデフレで得するのは誰なのか、というところがあり
宮崎:ここでいったん話をまとめると、一部の高齢者や公務員、富裕層のように、現金を保有している人々にとってはデフレ状況が永続することが望ましい。然るにそれほどの現金の蓄えのない若者や一般勤労者、自営業者、中小企業主、アントレプレナーなどにとって、デフレはきわめて過酷な経済環境である、ということですね。(p.134)
と書いている。この辺がなかなかピンとこないのがリフレ論の難しいところだと指摘している。給料が減り、金利が低い中、目の前の商品の値段が下がることを「よい」と感じるのは無理のないことだから。
そして、この辺りの説明の途中で出てくるのが次の部分。ちょっと長いが引用。
宮崎:一般のデフレ・バイアス(デフレ志向)には仕方のない部分もあると思いますよ。私たちは日常生活において経験的に得られた知見の体系から自由でははありません。私も勝間さんもこうした思い込みから完全に自由ではない。この日常的な知の体系をネイテイヴ・セオリー(素朴理論)と呼びますが、素朴理論が科学的に間違っている場合、それを修正するのが教育やメディアの大きな役割なのです。
ところが、「実感信仰」(理論やデータよりも、直接的な体験に基づく実感を過度に重視すること)が幸うこの国では、「デフレでも元気な中小企業」の社長さんなどがもてはやされ、そういう人がメディアでぶった精神論が「デフレ克服の秘策」として流通したりします。中小企業の社長さんの知恵は、実にローカル(局所的)な素朴理論なわけですよね。それがマクロ経済学者の見解よりも重視される。(p.171)
一瞬、「あれ、なんでニセ医療の話をしているんだろう?」と感じました。経済学が自然科学ほど過酷なテストに晒されているわけではないとは言え、構図はそっくり。残念ながらメディアも教育も本来の役割を果たしていないというところも。
だとすると、リフレ論が正しいとしても、実現への道は遠そうだ。