20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
- 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2010/03/10
- メディア: ハードカバー
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四年前、息子のジョシュが16歳の誕生日を迎えたとき、大学進学まであと二年しかないのだと、はたと気付きました。そう思うと、私が実家を出たとき、社会に出たときに知っていれば良かったと思うことを伝えておきたいという気持ちが強くなりました。(p.217)
ですから。
内容は一言で言えば、「やっていいんだよ」。その裏付けとなる事例や調査が手を変え品を変え説明される。なので、強く共感したり気づきがあったりする部分はたぶん人によりけり。それほどの量があるわけではないので、連休とかにちょっと読んでみるくらいがちょうど良いのかもしれない。とりあえず、目次を紹介。
- スタンフォードの学生売ります 〜自分の殻を破ろう
- 常識破りのサーカス 〜みんなの悩みをチャンスに変えろ
- ビキニを着るか、さもなくば死か 〜ルールは破られるためにある
- 財布を取り出して下さい 〜機が熟すことなどない
- シリコンバレーの強さの秘密 〜早く、何度も失敗せよ
- 絶対いやだ!工学なんて女がするもんだ 〜無用なキャリア・アドバイス
- レモネードがヘリコプターに化ける 〜幸運は自分で呼び込むもの
- 矢の周りに的を描く 〜自己流から脱けだそう
- これ、試験に出ますか? 〜及第点ではなく最高を目指せ
- 実験的な作品 〜新しい目で世界を見つめてみよう
個人的には、サーカスのところで紹介されていた発想法が面白かった。「工学なんて」の部分には思わず噴き出しました。
面白いと思ったところを幾つか。
スウェーデンなどの国の破産法では、会社が倒産した場合、経営者は債務から逃れられません。事業に失敗すれば、自分や家族に長期にわたる厳罰が待ち受けているということが、企業意欲を損なう大きな要因になっています。失敗に対しておなじくらい容赦のない国は、ほかにもあります。こうした国では、一度失敗すると、友人や隣人、同僚から失敗者の烙印を押されます。細菌、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に、いくつかの国で、債権の取り立て人が債務者を侮辱する様子が紹介されていました。スペインの例では、取り立て人が奇抜な格好で債務者の自宅に押しかけます。近隣住民の気を引き、債務者に恥をかかせようというのです。こうした文化では、社会的にバカにされる危険を冒してまで、あえてリスクをとろうとする人はいなくなります。(pp.91-92)
安心してはいけないのだけれど、日本だけではないんだな、と。
競争が好きなのと、目標達成の意欲が強いのとでは、大きな違いがあります。競争好きとはゼロサム・ゲームの中で誰かの犠牲と引き替えに成功することを意味します。これに対し、目標達成の意欲が強い人は、自分自身の情熱をかき立ててことを起こすのです。(p.197)
競争ではない、という解説の部分から。
また、解説が良かったです。三ツ松新という方の文章ですが。
さて、物語はいかがでしたでしょうか。10人いれば10個の成功パターンがありますが、人生で成功するためのあなたのパターンは見つかりましたか?(p.226)
見方を変えれば、大きなリスクを取らず、美味しそうな話に乗らないことに関しては、私たちはエリート集団です。
(中略)
もしあなたが大きなリスクやグローバルな戦いなど、大きな話に何となく違和感を覚えるなら、それはあなた一人ではありません。そんなときは、あまり横文字に踊らされることなく、自分なりの「異質な方法」をとればいいのです。(p.230)
最悪なことがあるとすれば、自分はリスクが取れない、自分には独創性がないと悩んでしまい、動けなくなることです。仲間を集め、常に新しい既存のものを探し、改良を続ける「異質な道」の開き方もあります。たとえサル真似と言われようが引いてはいけない。(p.231)
結局自分で考えなくては駄目ということなんですね。 すでに社会人の人は、この解説を先に読んでしまうほうが、すんなり本書の内容に入れるかもしれません。