季刊 ウォーゲーム日本史 第8号 『志士の時代 幕末ボードゲーム』(ゲーム付) ([バラエティ])
- 出版社/メーカー: 国際通信社
- 発売日: 2010/12/20
- メディア: 大型本
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その辺の視点はデザイナーズノートに書かれている。
一橋慶喜と西郷隆盛を同一プレイヤーが持っているという一見不可思議なことも起こりえます。コレまでのゲームでそんな不条理な状況ではゲームは進行しないでしょう。でも、このゲームは立派に進行します。西郷隆盛が勝利点を得るプレイが、一橋慶喜の勝利点を減らさないからです。(p.12)
ウォーゲームのデザインは、歴史の再構築であるとも言えます。幕末のようなテーマでは、はっきりした歴史観がないと再構築はできません。
『幕末』の歴史観は、「反官軍史観」です。最近の学校での教え方は知りませんが、わたしが子供の頃は「官軍史観」でした。幕府は悪く、天皇制を確立した薩摩・聴衆・土佐の官軍が正しいとする考え方です。
しかし、戊辰戦争は正義のための戦いではなく、薩摩・聴衆・土佐の藩政を動かしていた者達が自分たちの野望のためにいいように暴力(軍事力)をふるったのだという史観もあります。それが「反官軍史観」で、このゲームもどちらかというとそれにちかい史観でデザインされています。(p.12)
孝明天皇については、本ゲームでは暗殺説をとっているのだが、今読んでいる別の本*1では、可能性ほぼゼロとなっていた。ゲームは視点なんだな、というのが分かる部分だし、先日のSF乱学講座の「プロパガンダ」という視点も忘れてはならないわけですね。
*1: