- 作者: スティーブ・コーエン
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2007/02/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「超一流」とか「カリスマ」とか、いかがわしそうな響きだが、中身の大半は特に変なものではなく参考にできるので、軽い気持ちで読んでみて参考になるものをピックアップすればよいと思う。
以下は例によって、面白いと思ったところのメモ。
私の友人に、とても説得力のある話し方をするマジシャンがいます。答えが全く分からないときでさえ、「その問題の答えが分からないことは確かです」と応えるのです。それを聞いた人たちは、この人ならちゃんとやってくれるというふうに感じます。(p.68)
信頼を生み出す方法の紹介から。もちろん嘘はいけないですが。
褒めてくれた人のことに話題を向けましょう。相手を会話に引き込むために、個人的な問題を質問するのです。相手が褒めてくれた事柄にうまく話をつなげていけば、いっそう自然な会話になります。
相手:「その服はとても良いですね」
あなた:「ありがとうございます。衣服についてよくご存じなのですね。どこか良いテーラーを教えて下さいませんか?」
相手:「すばらしいプレゼンテーションでしたよ」
あなた:「ありがとうございます。少々あがってしまいました。あなたは人前であがったりしませんか?」
(p.78)
この新しいやり方で、これまでの習慣を断ちましょう。相手だって自分を認めて欲しいのです。喩え自分が貴方を褒めている最中であっても。(p.79)
「発表中や質疑応答で鋭い質問を受けたら、『鋭い質問ですね』とまず相手を褒めてしまえ」と教わったことがあるのだが、同じ発想ですね。
ステージへの登場の仕方について。
最初の二歩は、観客に見えないように、つまり舞台の袖を歩いてください。観客が最初に目にするのは、あなたが三歩目を歩く瞬間からということになります。
なぜそんなことが必要なのかと言いますと、静止した姿勢からスタートするとき、最初から勢いを付けることは難しいからです。(p.107)
これは登場の仕方の話だけれど、仕事の仕方とかにも通じるような。
今、私は「自信がある」ではなく、「自信を示す」という言い方をしました。もしあなたに自信があっても、目立たないところに黙って立っているのでは、あまり意味はありません。(p.164)
コミュニケーションするなら、「伝えたい」という気持ちで動かないとダメということ。
第7章には「思い通りの言葉を相手から引き出す秘密の話法」というのがある。いわゆる誘導尋問の技術で、正直なところ読んでいて楽しいものではない。個人的にはこういう小手先の技術をセールスマンが使ってきたら、その時点で私のその人物に対する内部評価は「嘘つき」レベルに設定される。
ただ、技術は技術なので、知っておくのは多分大事だ。
- ふたつの命令を「そして」でつないで、<命令>そして<命令>とすると抵抗しづらい
- 「それとも…」と最後に付け加える(「それとも、」まで言って後は口を濁らす)と、相手はノーと言いやすい
- 命令のあとに「なぜなら」と付け加えると抵抗しづらい。そして、「なぜなら」の後に続く理由はそれっぽければ充分
- 「内緒だけど」と切り出すと、相手はその後の提案に乗りやすい
- 「運のいいことに」などと希少性を切り出す。 (○○に当選しました! のパターンですね)
- 「○○しなければ、きっと△△できませんよ」 損(喪失)をほのめかされるとその場で決断しがちという話。「この方法を使うのを躊躇するあなた、あなたはコミュニケーションのすばらしい道具を失うことになるのですよ」 などと使うそうです。
- 相手の名前を呼ぶ
- 否定する。 「するな」と言われるとしたくなる。
- 「ご存じのように」 と切り出すと、反論しづらくなる
- どれくらい? 「あとどれくらいしたら、本書の内容を使い始めますか?」と聞くことで、使うのか使わないのかという判断を取り上げることができる
- 二者択一 「今日お持ち帰りになりますか、それとも明日お届けしましょうか?」 上記の「どのくらい」も同じだが、勝手に判断を取り上げてしまうことができる。
なんというか、昨今の問題についても、知ってか知らずかこういうトリックを使っている人が目立つような気もする。くれぐれもお気をつけを。