k-takahashi's blog

個人雑記用

自由で開かれた世界は、自由で開かれたウェブ環境によって実現します

自由で開かれた世界は、自由で開かれたインターネット環境によって実現します。インターネットの将来は、政府だけで決めてよいものではありません。インターネットを利用する世界中の何十億という人々や、インターネットを構築、保守している専門家たちの意見を反映させる必要があります。

Take Action – Google


ITUは通信分野における標準化や調整を行う組織で、その設立は19世紀に遡る。現在は国連の専門機関の一つだが、国際連合どころか国際連盟よりも古くからある国際機関である。


ここの勧告は非常に重要なもの(周波数の割り当てなども、まずここで決まる)である。この勧告を守らないと国際間で通信ができなかったり、電波干渉が起こったりすることになる。また、途上国のデジタルデバイド解消のための活動なども積極的に行っている。


ところが、この機関は設立が古いこともあって国際政治機関の悪い面も引きずってしまっており、過去にもネット検閲を正当化しようとする勢力の活動の場になってきていた。
最近だと、今年の2月にもこんな記事が出ている。

On Feb. 27, a diplomatic process will begin in Geneva that could result in a new treaty giving the United Nations unprecedented powers over the Internet. Dozens of countries, including Russia and China, are pushing hard to reach this goal by year's end.

Robert McDowell: The U.N. Threat to Internet Freedom - WSJ

この記事中に出てくる UN(国連)というのはITUのことで、"by year's end"というのが、今回話題に出てきている12月の会議(WTSA-12)のこと。


今年の1月にSOPA問題が起こった。

 新法案(SOPA)は、現行法では裁けない海外サイトによる違法海賊行為の阻止が狙い。だが「ネットの検閲につながり、インターネットの自由を制限する恐れがある」などとして、米Googleや米Facebookなどのネット関連企業や人権団体が反対している。

Wikipedia英語版が一時閉鎖 米法案への抗議で“24時間スト” - ITmedia NEWS

このSOPA問題の国連版が今回のことだと思えば、まあ大雑把には該当すると思う。(犯罪対策を口実にしているところとかも似ている)


こんなものを非公開の場で決めてしまおうというのがそもそもどうかしているのだが、国際政治という言い方をされると非公開にすることもそれなりに合理的なこともある。そして、単純に国連加盟国政府という捉え方をすると、ネット検閲を強化した方がよいと思っている数が少なくないのも現実。

ITU がインターネットの将来を決めるのは間違っています。
ITU で発言権を持つのは政府だけです。その中には、自由で開かれたインターネット環境を好ましく思っていない政府も存在します。 技術者、企業、そしてウェブを作りウェブを利用する人々には投票権はないのです。
ITU は秘密主義でもあります。条約の協議や法案は機密扱いで非公開となっています。

Take Action – Google

もちろんネットが野放しで良いということはないが、ものには程度というものがある。「自由で開かれたインターネット環境を好ましく思っていない政府」の代表が中華人民共和国やイラン、北朝鮮などで、この辺の国のネット規制を望ましいという人は少なかろう。だが、ITUはこれらの国のネット検閲を正当化しかねない、というのが今回の懸念である。



そのうち、日本でも記事が出てくると思う(既に、Techcrunchには記事がある)ので、ご注意あれ。