k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2013年4月号

Newton (ニュートン) 2013年 04月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2013年 04月号 [雑誌]

特集は2本立てで、素数と火星。

素数

基本的なところ(ユークリッドの証明、メルセンヌ数素数定理)、ネット利用(RSA)、そしてリーマン予想までの概要を紹介。リーマン予想のグラフ化というのは初めて見た。

火星

キュリオシティの紹介が中心で、責任者のジョン・グロツィンガー教授のインタビューも掲載。
火星の探査が、ある意味で地球の過去の探査(火星の地表以外の岩石は非常に古いものであることが期待できる。)でもあり、それがグロツィンガー博士(もともと、地質学のフィールドワークから初期の地球の研究をしていたそうだ)という人が関わる理由でもあるそうだ。

火星のシャープ山と同じ年代で、保存状態のきわめてよい岩盤層を地球上で探そうとしても、めったにみつかるものではありません。つまり、火星を研究すれば、あまり記録が残っていない初期の地球の活動について、その状態を垣間見ることができると考えたからでした。(p.48)

水面を駆け抜けるには

昔、怪しい伝説のニンジャ特集で、コーンスターチを溶かした水の上を走るパフォーマンスが紹介されていた(http://d.hatena.ne.jp/k-takahashi/20071224/1198506310)けれど、生物だとどうなのかという解説記事。


グリーン・バシリスクというトカゲの水上走行の分析(毎秒20歩で駆け抜ける)は、よくジョークで出てくる「足が沈む前にもう一方の足を出す」というのを本当にやっている。水を叩いたときの衝撃、水を押し下げたときのくぼみが生み出す浮力、水をかくときの反動、これを高速で繰り返している。
アメンボの表面張力はよく知られているが、親水性の爪で水を「掴む」イトアメンボや、体を反らしてU字型を作ることでスイレンの葉に近づくニレハムシの幼虫なども紹介している。いや、うまいことやるものだ。

料理のサイエンス

肉を料理する科学の紹介。
肉は、アクチン、ミオシン、といった繊維がコラーゲンによって束ねられている。ミオシンは50度で変性し始めるが、ここまでで焼くのがレア。60度になるとコラーゲンの変性が始まり、肉汁がしみ出し始める、これがミディアム。さらに温度を上げるとアクチンが変性を始めるが、こうなると焼きすぎ。


一方、結合組織のコラーゲンは長時間加熱することでゼラチン化する。こうなるとアクチンやミオシンが変性して硬くなっても肉全体としては柔らかくなる。筋の煮込みというのはこちらの理屈。