- 出版社/メーカー: ジャパンミリタリーレビュー
- 発売日: 2013/04/10
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尖閣上空『日中』航空戦(三鷹聡)
幾つかの想定を行った上での軍事上シミュレーション。とは言え、結果に大きく影響するのは結局政治的判断だったりする。
とにかく中共にとって目障りなのがE-767。これが政治的判断で失われる場合と、サイバー攻撃で基地周辺に停電を起こさせる場合とが書かれている。
早期のE-767排除に失敗した場合は、対艦ミサイル搭載のH-6(轟炸六型)が東シナ海を脅かすということになるようで、こちらの対策検討も必要、と。
しかし、どの想定でも、F-15が2機撃墜されてしまうのは仕方がないようだ。厳しいね。
レーダー照射事件
多田智彦氏と井上孝司氏がそれぞれ解説記事を書いている。多田氏は中国海軍の装備の解説、井上氏は射撃管制レーダー自体の技術解説。
「中国海軍が射撃管制レーダーを自衛隊に向けた、というのはどういう風に分かるのか」の解説でもある。
北朝鮮
野木恵一氏は北朝鮮の核開発状況の解説。過去の経緯を考えると、今回の爆発規模は16キロトン程度となるようだ。各機関の推測値がばらつく理由も書かれており、一言で言えば「推測は難しい」となる。実際、ネヴァダの実験場ですら岩盤の状態で推測計算用のパラメータが大きく異なっている。
また、北朝鮮のミサイル技術が弾頭再突入の実験をしていないが、それはイランがやるかも、とも指摘している。
黒井文太郎氏は、例によって北朝鮮の暴言や各国の対応の分析。
3月11日の米クラッパー国家情報長官が、「KN-08を潜在的脅威と認識していることを正式に表明」したことを注目している。
また、今回は対日発言も多いが、それについては「対日徴発は戦争を誘引する危険性がほとんどないため、北朝鮮にとってもそれほどハードルの高い行為ではない」として、実際に沖縄越しの太平洋を狙って撃ってくる可能性もあると分析している。
ベンガジ米領事館襲撃事件(安部琢磨)
準備不足「適切な避難訓練と防火対策を行っていたならば、今回の悲劇は回避できただろう」(p.92)だそうだ。(放火したのは武装集団だが、対策準備が不充分で、死因が煙だった。)
また、カダフィの遺産がイスラム武装集団に渡っていて彼らの武装が軍隊レベルに達していたこと、彼らが大使の行動情報を掴んでいたことなども注意点としている。
アルジェ人質事件(鈴木基也)
こちらは、日揮の社員が犠牲になった例の事件の解説。
昨年6月に従業員がストライキを実施した際に、テロ支援者が情報収集に奔走していたそうだ。
人質が容赦なく殺されていく様子に背筋が凍る。
オーストラリア航空戦力(石川潤一)
中共の侵略はともかくとして、現状では自国防衛と国際組織の軍事部隊としての両面がある同国。C-17は震災の時に日本支援にも来ている。その航空戦力の紹介記事。
ちなみに、海岸線の長さでは日本に次ぐ7番目になるので、日本同様、対潜哨戒機が充実している(日本はP-3Cが100機あるが、豪州はAP-3Cが21機)など、日本と似ている面も多い。(F-35に振り回されているところとか、米軍との連携が重視されているところとかも。)