k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2013年9月号

軍事研究 2013年 09月号 [雑誌]

軍事研究 2013年 09月号 [雑誌]

表紙は、DARPAのアトラス。例のロボットチャレンジで使用するロボットでもある。

自衛隊島嶼防衛最前線レポート(芦川淳)

現地取材レポート。自衛隊の現状についてが中心。
陸自は、第6高射特科群と第15ヘリコプター隊が大規模変更中。第15ヘリコプター隊は、以前の第101飛行隊。緊急患者空輸でよく名前が出ていた部隊。
海自は、第5航空群。P-3Cの運用部隊を紹介。広域監視活動(尖閣諸島を含む)を実施している。その支援に当たっているのが沖縄基地隊。また、小さな島が多いことから、掃海艇は掃海以外の任務も多いそうだ。
空自は、近々2個飛行隊体制に移行する第83航空隊(配備機の確保が課題)と第5高射群のPAC-3ミサイル配備。

台湾で激突!日中戦車部隊(三鷹聡)

あまりリアルな設定ではないが、もし、中共の台湾侵略が発生し、自衛隊が支援に向かったらという設定。
性能はともかく、通信が切れると途端に無力化するという描写が興味深い。

「ドーンブリッツ2013」従軍記(菊池雅之)

3自衛隊が参加したドーンブリッツ演習のレポート。但し、空自は人員のみで、機体の派遣は今後ということになる。
ひゅうがにオスプレイが降りたシーンが話題になったが、まず、米揚陸艦ボクサーのクルーがひゅうがに乗り込んで色々アシストしていたそうだ。
今後の注目点として、西普連にANGLICO(火力誘導)が設置されるかどうかというのがあるとのこと。今回の訓練中に交流があるシーンがあったそうだ。

装甲車を垂直空輸!!ヘビーリフト大型ヘリ開発計画(石川潤一)

実は、米陸軍には装甲車を空輸できるヘリが無い。オスプレイのスリング能力は1万2500ポンドなので、LAV-25A1やM1126は運べない。(10〜20トンくらいある)
ということで、過去の大型ヘリ計画の紹介や、計画中の機体を紹介している。
ただし、まだ方式(ティルトローター案とハイブリッド案がある)の検討段階だそうだ。

陸軍マニュアルに見る旅団戦闘チーム(木元寛明)

連載2回目。中量級(Medium Weight)戦力、ストライカー旅団戦闘チームの解説。
カタログ紹介的な記事だが、小隊レベルまで装備も含めて書かれている。これが、全部公開情報だというから凄い。
米陸軍のドクトリンは、アクティブ・ディフェンス、エアランド・バトル、フルスペクトラム・オペレーションズと変わってきているが、装備や編成もそれに合わせて変わっている。このペーパーワークだけでもたいしたものだと思う。

ワールド・イン・フォーカス(菊池雅之)

艦隊勤務についてのコラム。面白いネタを二つ転載。
まずは、いわゆる金曜日のカレーについて。

残り一ヶ月の航海と聞くと、まだまだ先が長いが、あとカレー四回しか食べられないと考えると、短いと感じるそうだ。よしではあと四回美味しくカレーを食べるために頑張るぞ、となると言う。(p.121)

韓国軍の秘密について。

韓国海軍ではキムチの積載量が秘密となっているという点だ。というのも、その数字が公表されると、何日間航海できるのかなど作戦日数がばれてしまうからだという嘘のような本当の話がある。(pp.121-122)

自衛隊における統合部隊編成のあり方を問う(江口博保)

「統合とは何か」という話。編成と任務を分析し、機能分担がおかしい、運用に必要な機能を上に集めすぎなのでは、という指摘をしている。

スノーデン事件について

『暴かれたアメリカの全世界監視・盗聴作戦』(黒井文太郎)、『情報漏洩「インサイダーの脅威」』(井上孝司)の2本の記事が載っている。


黒井氏は

おそらくプリズムのプログラムでは、調査許可要求から許可認定、そして各通信会社への命令書送付、各会社による検討および情報提供までの一連の流れが、ほぼ自動化されたのではないかと思われる。(p.226)

と推測している。そして、NSAの被ったダメージで一番問題なのは、

NSAがどの標的に対してどのような手法でハッキングをしているのかが漏洩すること(p.228)

だとしている。
実際問題として個人がどうこうというのはあまり問題ではない(NSAもそんなに暇ではない、という身も蓋もない理由だが)ようだ。


井上氏は「情報機関における情報保全」にポイントをおいている。
情報機関での横連携の弱さが、911テロの未然防止の失敗に繋がったという事実がある一方で、アクセス範囲を広げるとスノーデン事件のようなことになってしまう。難しい話で、もちろん、銀の弾丸はない。