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「研究本部」の創造と挑戦!(小林春彦)
平成12年に設立された陸上自衛隊研究本部の解説記事。
業務が多いため、一部の研究については職種学校にもやってもらっている(p.30)そうで、どこも人手不足は変わらないようだ。
この本部、実は三自衛隊のうち、運用から装備まで横断的に研究する組織は陸自にしかなく(これは主にサイズ的理由らしい)、更に、試験部隊を持つ研究機関は世界でも珍しいそうだ。
研究本部ができるまでは、幹部学校が戦略研究を行い、職種学校で機能をまとめ、技本で開発、という流れだった。本部設立後は、ここが全部やっている。
中国最新核ミサイル「グアム島を直撃」(田中三郎)
3月に中距離弾道ミサイルDF-26Cの配備を開始、射程7500キロの弾道ミサイル(JL-2)搭載の潜水艦を年内に配備、というニュースが流れている。
このDF-26Cはグアムを直接攻撃できるミサイル。基地から射程を示す円を描くと、グアムがぎりぎり射程内になるのがわかる。そして、当然ながら、日本もほぼ全土が射程内になるわけで、となると在日米軍も狙われることになる。
中国海軍!南シナ海の完全制圧を目指す(文谷数重)
中国海軍にとって、「現在の」主戦場は東シナ海ではなく南シナ海。なので、南シナ海に最適化された船である056型コルベットを大量に南海艦隊に配備している。
「南シナ海での領土争いで勝てないと政権が倒れ」(p.61)とあり、基本的にはそうなんだろうけれど、でもつい先日ベトナムのパラセルからは一旦引いたので、著者が想定するよりは中共の国内基盤は堅いのかもしれない。
ウクライナで暗躍する「影の軍隊」民間軍事会社(阿部拓磨)
ロシアのウクライナ侵略で話題になった「無国籍軍」。実態は、ロシア黒海艦隊の基地警備のためにFSB(ロシア連邦保安庁)が雇ったPMSCだったそうだ。
PMSC(民間軍事警備会社)については、「モントルー文書」という赤十字主導の規約があるのだが、当然、ロシアは未批准。彼らが問題を起こした場合の責任や手続きも不明瞭のまま。なので、「ロシアお墨付きの無国籍軍」という奇妙な状態が実現したようだ。
軍隊ではない軍事力を使うこと、PMSCが退役軍人の受け皿になること、というのがロシアにとってPMSCを使うメリットで、今回はそれが十全に活かされたようだ。
アメリカ・EUとロシア、対立の構図(野木恵一)
前回の冷戦について。
興味深い指摘があったので引用。
四周を海で囲まれ、どの他国とも国境を接しない日本の人々には、自分たちと相容れない存在が時続きの国境線の向こう側に居いるとのロシア人の感覚は理解しにくいだろう。
逆に二つ三つの国と国境線を接しているのが普通で、民族の移動なども歴史上何度も経験してきている西欧諸国にとっても、他国との間に緩衝国を挟みたがるロシア人の安全保障間はすなおには受け止められないかもしれない。
(p.95)
だからといってロシアのやり方を認める理由にはならないけど、そういう発想なのでは、という話。
アメリカ海兵隊航空の最新編成(石川潤一)
米海兵隊航空戦力の紹介記事。
「マグタフ(MAGTF)」(Marine Air Ground Task Force:海兵空地任務部隊)という概念が重要。
その配下に複数の組織があるのだが、その一つがMEUという2000人強の部隊。従来は強襲揚陸艦とセットで運用していたが、船では展開が遅く、一昨年、ベンガジで大使館がデモ隊に襲撃され4人が殺害されるという事件を契機に、オスプレイを組み込んだSPMAGTF-CR(Special Purpose MAGTF-Crisis Response)を新規に編成した。
米韓合同演習「ダブルドラゴン」(後編)(菊池雅之)
3月から4月にかけて韓国で行われた演習のレポート。オーストラリア軍(第7旅団第6歩兵大隊)が参加しているが、対中という意味合いがあるようだ。
あとは、オスプレイのローターウォッシュをくらって、大変だったらしい。こういうのも演習で確認しておく必要があるものなのだろう。