- 作者: アンディウィアー
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/09/30
- メディア: Kindle版
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内容紹介
http://www.amazon.co.jp/%E7%81%AB%E6%98%9F%E3%81%AE%E4%BA%BA-%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BC-ebook/dp/B00O1VJZLO
有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが――。奇跡的にマークは生きていた!? 不毛の赤い惑星に一人残された彼は限られた物資、自らの知識を駆使して生き延びていく。宇宙開発新時代の傑作ハードSF
日記文体というよりは、ブログ文体に近いが、それがなんとも言えない親近感とそれっぽさを醸し出している。
この文体と内容のせいで、全然合わない人もいるかもしれないが、好きな人はすごく楽しめると思う。
上記の「生きていた」の続きの部分、
もし酸素供給器が壊れたら窒息し。水再生器が壊れたら乾きで死ぬ。ドームに穴が空いたら爆死するようなもの。そういう事態にならないとしても、いつかは食糧が尽きて餓死する。
(No.141)
という状態。だがここで頑張る。
この食糧問題は、火星でジャガイモを育てるという方法で解決を試みる。そう、世界を救うのはここでもジャガイモなのだ。
種芋は実験用に持ち込んだものがあるが、育てるための土と水はどうするのか?
僕は高校時代、ずいぶんダンジョンズ&ドラゴンズをやった。(この植物学者/メカニカル・エンジニアがちょっとオタクの高校生だったとは思わなかったかもしれないが、じつはそうでした。)キャラクターは神官で、使える魔法のなかに”水を作る”というのがあった。最初からずっとアホくさい魔法だと思っていたから、一度も使わなかった。あーあ、いま現実の人生でそれができるなら、なにをさしだしても惜しくはないのに。
(No.439)
他にもクレリックの呪文には食べ物を作ったり、呼吸したり、病気を治したりとサバイバルに役立ちそうなものがあったなあ。もちろん、主人公マークはクレリックではないわけだが。
(しかし、NASAにはダクトテープがある。)
ほかにこんな描写もある。
ローバーのコンピュータに "hexedit"を入れて、 /usr/lib/habcomm.so のファイルを開き、スクリーンの左側のインデックスが2AAE5のところまでスクロール、そこのバイトを次のメッセージでNASAが送ってくる141バイトのシーケンスと入れ替える。
(No.2278)
「なんですか、『プロジェクト・エルロンド』って?」アニーがたずねた。
「なにか名前を付けなくちゃならなかったもんでね」ヴェカントはいった。
「それで思いついたのが”エルロンド”?」アニーがまたつっこむ。
「秘密の会議だからでしょう?」ミッチが推理を披露する。
(No.3605)
こういうところで、「ほほお」と興味を持った人、いいから買って読みましょう。
戦う相手は「冷たい方程式」が支配する宇宙・火星。それに立ち向かうのは、技術と数式と軽口と楽観主義。
テレビシリーズにしたら面白いかも。(と思ったら、年末に映画が公開だそうで。)