k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2016年5月号

軍事研究 2016年 05 月号 [雑誌]

軍事研究 2016年 05 月号 [雑誌]

水陸機動団創設への提言(その1)(江口博保)

新大綱に提唱された「水陸機動団」。当然、課題が幾つかあるわけで、その話題。
まず数。欧州・アジアの主要国を調べると、事情があって高いところ低いところを別にすると、概ね陸軍兵力の7%程度。これを自衛隊に当てはめると水陸機動団は約1万人程度になる。そしてこれに見合う揚陸艇が必要だけど、数が足りていない。
また、敵の侵略に対して状況を固定化させない(「状況の浮動化」)ためには急行させる体制が必要(もちろん政治決断も必要だが、まずは自衛隊の能力の話)で、では何が必要か。すぐに動かせる体制にするには、2〜3個旅団の編成が望ましい。(現場での指揮、および揚陸艦との兼ね合い)
という感じで、装備と編成を論じている。

島嶼防衛・陸自水陸機動団のAAV7(竹内修)

水陸機動団向けの装備と言われているAAV7だが、既に正式化から40年以上立っており、中途半端に導入すると日米共同作戦の妨げになりかねない。(例えば、能力向上改造で速度が2割変わるとされている。)
研究用として割り切るならともかく、能力改造の検討は必要だよ、という話。

習近平の「強軍」改革戦略(竹田純一)

昨年末実施された、中国の軍制改革の解説。
「五軍種体制の確立」「中央軍事委を15の工作部門に再編」「五戦区体制への移行」がポイントで、軍の指揮・管理体系が大きく変わっている。
共産党による軍の支配が強化された、という位置づけになる。組織名リストなども記載されている記事。

米空軍メジャーコマンド(石川潤一)

米空軍の体制解説記事。今回は海外部門と予備役、州兵。日本に関係の深いPACAFも紹介されている。
戦闘機の数がF22だけではやはり足りなくて、F-15のアップデートは必須。

一陸上自衛官の回想(1) (松島悠佐)

今月号から回想録の筆者が交代して、元陸将の松島悠佐氏。名前に見覚えがあり略歴を見たら、『阪神大震災自衛隊かく戦えり』*1の著者でした。
防衛大が補欠合格だったとか、L-90高射機関砲に関わった縁でドイツ留学が決まったとか、なかなか大変な出だし。

サウジとUAEがイエメンに遠征した理由(村上和巳)

中東イスラム系諸国の状況解説。
日本からイメージとしては「対イスラエル」「過激派が暴れている」くらいの感じだが、当然各国ともに事情や思惑がある。
そのややこしいところの噴出の例がシリア(シリアの解説は次号)

イスラム圏に再び影響力拡大!?(小泉悠)

そのシリアで上手いことやったロシアだが、そのロシアの武器輸出の解説記事。
ウクライナ問題を契機にした中露最接近(但し、これが最後の接近になるかもしれない)、インドとの関係(パキスタンへの輸出増の影響)、原油価格下落の影響(ロシア自身もそうだし、輸出先にも産油国が多い)、売り込み活発化。
一時期の輸出一辺倒からは抜け出し、ロシア自体による調達が増えている(ようはロシア自体が軍拡を続けているということなのだが)というのは指摘されてみればその通り。

*1:

阪神大震災 自衛隊かく戦えり

阪神大震災 自衛隊かく戦えり