『 新型コロナで見せた自衛隊の強さと限界』(濱田昌彦)は、自衛隊の新型コロナウイルス対応関係。きちんとした装備と手続きを、面倒くさがらずに愚直に対応した結果で、確かに自衛隊的ではある。ただ、米軍なら州兵が対応するようなことを自衛隊に頼りすぎるのも確かに考え物。とくに昨今の安全保障状況ではなおのこと。
『ロシアから見たイージス・アショア問題』(小泉悠)は、そもそも合理性のないロシアの難癖の裏にあるモノについての解説。結局の所は、政治的な計算の上で行っているものであるし、それこそ沖縄でやっているような宣伝の方が主目的に近いということ。(ロシアの視点からは、同盟というのは支配のことだから、日米同盟とは米国による日本支配のこと、となるのだそうだ。だから、「日本が北朝鮮から身を守るため」というのはロシアの発想にはない、ということになる)
今号は、他にもロシア関係の記事として『ロケット大国ロシアの宇宙基地(前編)』(鳥嶋真也)と『どん底から復活へ!ロシア海軍』(多田智彦)が掲載されている。たまたまなんだろうけれど、内容が重層的になっている。
『「ウィズ・コロナ」シンガポールエアショー』(竹内修)は、2月に開催された展示会の記事。この時点でシンガポールは警戒態勢に入っていて、その辺の管理の徹底ぶり(バスや座席の番号を保管しておいたり、検温テントを用意して体温を測定して記録を残したり)
『「中央即応連隊」「中央特殊武器防護隊」「対特殊武器衛生隊」「特殊作戦群」』(奈良原裕也)は、陸上総隊直轄の部隊の紹介。海外派遣を想定した中央即応連隊、サリンやJCO事故に対応した化学防護隊から連なる特殊武器防護隊、生物兵器対策を行う特殊武器衛生隊は新型コロナ対応も行った、特殊作戦群は相変わらず詳細不明。
連載の『アメリカ海軍「艦上戦闘機と空母航空団」の歴史(3)』は、大戦間の米空母の艦載機の変遷をまとめた記事。空母自体も色々作っている(ワシントン海軍軍縮条約が枠を嵌めたがために、その枠に合わせて色々作った面もあるそうです)のだが、艦載機の方も急ピッチで入れ替わっていく。1940年の時点で戦闘機の比率が2割にまで低下していて、米海軍も空母を「艦隊の長距離主砲」と捉えていたことが分かる。