k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究2017年1月号

軍事研究 2017年 01 月号 [雑誌]

軍事研究 2017年 01 月号 [雑誌]

ロシア・中国の合同軍事演習「平和使命」(小泉悠)

反西側という点で利害が一致する中露両国だが、一方で相手の都合に巻き込まれるのはいやという微妙な関係。それは軍事演習の内容にも現れていて、2005年には中国が台湾恫喝のために浙江省での実施を希望(結局山東半島に)、2007年には中国が戦車を参加させようとする一方ロシアはプロパガンダを実施。それが2013年には緊密な連携を実施するに至っている。
2014年には中国が尖閣諸島近辺で海上連携演習を希望し、2015年には地中海での実施だったが中国はセヴァストポリに帰港しなかった。
そういった経緯と展望を分析している。来年にはインドとパキスタンが絡んでくる。

現代戦に「装甲救急車」は必須だ(照井資規)

連載というわけではないけれど、最近記事が通鋳ている救急関連。
「他国軍のMEDICAが戦場の救命で著しい効果を挙げたのは観察・評価の能力である」(p.53)というのはなるほどと思った。治療の前の評価を適切にすることが効果的なのは既に実証済みということ。(イリノイ大学のジョン・ウィルワイファー教授のインタビューには「第一線で行うべきは最小の外科的処置であり手術ではない。しかし、この考え方を身につけるには相当な訓練が必要である」(p.65)と言っている)
他に「手当てをしていると野生動物に食べられてしまうおそれがある」(p.57)、「現代の軍隊は戦闘に巻き込まれた民間人に救護を提供するCivilian Aidも重要な任務」(p.61)とかも重要な指摘。

日本版沿海戦闘艦LCS「多機能護衛艦」(岩本三太郎)

新型護衛艦についての考察記事。
価格がやはり大事で、そうするとかなり絞り込む必要が出てくる。従来のような防空・対潜能力は削らざるをえない。では何をさせるのか。要は、対外侵略を企てる中国をどう抑制するかということで、本稿では機雷戦や奇襲対応などをあげている。

巨大重輸送ヘリ『CH-53Kキングスタリオン』(石川潤一)

チヌークの後継候補であるキングスタリオン。チヌークに搭載できない軍用貨物パレットをそのまま収容できる大きさが魅力だが、その大きさゆえにCH-53K自体の輸送が大変になる。

中部方面総監への就任(一)(松島悠佐)

松島氏の回想録。いよいよ1993年の中部方面総監着任。兵庫県知事からの冷遇、防災訓練に自衛隊が参加できないこと、など。その中で転地演習などを実施した。
参院選への打診があったというのは知らなかった。新進党自衛隊票を狙っていたという背景があるそうだ。

ユーロネイヴァル2016 ヨーロッパ最新艦船事情(多田智彦)

10月に開催されたユーロネイヴァル2016展示会のレポート。
ドイツの多目的組み合わせ艦 MEKO が面白い。モジュールを組み合わせるというのは誰でも考えることだろうが、実施するのは難しい。MEKOは50隻以上の実績がある。

北朝鮮の核ミサイル戦闘艦(文谷数重)

北朝鮮SLBMについての分析記事。例によって文谷節だけれど、通信の解説は面白い。
SLBMは役に立たないがイメージ戦略的には意味がある、よって整備は進んでいくだろうと予測している。