k-takahashi's blog

個人雑記用

指揮官の条件

指揮官の条件 (講談社現代新書)

指揮官の条件 (講談社現代新書)

著者は、東日本大震災直後の被災者救援活動や福島第一原発事故後の対応で、海上自衛隊の指揮官を全うした。「船長」として、部下をまとめ確たる実績を残している。そんな著者が組織のリーダーの在り方、強い組織の作り方について、シンプルにそして力強く、考察する。「組織への忠誠心」「有事に信用できる人間の見極め方」「言葉の重要性」「指揮統率の奥深さ」・・・。これからの時代に求められる、真のリーダーとは

https://www.amazon.co.jp/dp/B016UE8RD6/

軍事活動は基本的に秘密(というか勝手に公開できない)ものだけれど、災害派遣は原則公開。それで色々と講演をしたり本を書いたりしたらそういう話には需要があることが分かった。ということで今度はキャリア全体をベースにして指揮官として思うところを綴った一冊。
対テロ作戦の海外派遣、震災対応での苦悩はもちろん、部下の育成やあたご事件などでの苦労も書かれている。駐在官として海外赴任した際は英語力不足で散々だったという話(そして、それをどう克服したか)も出てくる。


組織論のところには「充電しない組織は衰退する」という章がある。「教育は投資ではなく投機だ」という言葉も紹介している。この辺はあくまでも自衛隊という組織で苦労した人の述懐という位置づけだが、広く通じるものだろう。


自衛官が書いた回顧録的な本も色々出ていて、できも様々だけれど、これは良い一冊だと思う。

軍隊における指揮統率と、警察や消防を含めた、あらゆる他の組織のリーダーシップとの決定的な違いは何か。それは、我々の場合、部下に対して砲煙弾雨のなかを「行け」と命じなければならないこと。(No.115)

というのは、震災後の自衛隊訪問レポートの「危ない、前へ」に通じる。