k-takahashi's blog

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イラストで学ぶ、戦闘外傷救護 〜外傷救護の最新情報

イラストでまなぶ! 戦闘外傷救護 -COMBAT FIRST AID-

イラストでまなぶ! 戦闘外傷救護 -COMBAT FIRST AID-

戦場やテロ現場などで発生する外傷にどのように対応しているのか、をイラストで解説した一冊。
この辺を大規模にオープンに研究しているのは結局米軍なので、米軍の方法論や装備などの説明が中心。


実用的かというと、米軍流の装備が手元にあるわけではないので考え方を知るというのが中心。
でも、「時間を買う」という考え方は興味深かった。ちょっと引用すると

即時対応が必要な人から対応を行い、時間を稼いだら順番をつけ直して最重要な人に対応する。もちろん、ここにはないが「手の施しようがない」という判断もあるだろう。
こうして、現場でCLS(Combat Life Saver)が時間を稼ぎ、メディックは高度な医療を提供する。現在の米軍ではメディックは小隊に一人で、一方で最小単位(ツーマンセル)の中に最低でも一人のCLSを置くように教育・編製しており、これが現時点では有効とされている。装備と訓練が必要なため、なかなか世界中に普及というわけではないそうだ。
ただ、ボストン爆弾テロでは、こうした考え方が有効に機能したとされている。


あとは、「直接圧迫止血法」というのがあるのだが、これがこんな感じ。

こんなの聞いてなければ分からないよなあ、と思った。


他にも、ヘルメットがハンモック型だと爆風で頭に損傷を受けるからパッド式になったとか、防弾ベストを着た際の射撃スタイルが普通とは違ってくる(ライフルの銃床を肩ではなくプレートの中心におしつける)とか、爆発を爆轟と爆燃に分けて傷の種類が変わるとか、知識としても興味深い。


"Call A CAB N Go Hot"とか"SAFE MARCHe"とかの考え方は、訓練された軍隊の動きを描写するときの参考にもなるだろう。(ただ負傷者を助ければよいというものではなく、加害してきた相手への対応も同時に考えなくてはいけないのが、事故と戦場(テロ現場)の違いということになる)