Takramの田川欣哉氏が書いたビジネス書。副題にある「BTC」というのは、Business、Technology、Creativity(Art)のこと。この3つが全部必要(BTCトライアングル)で、とはいえ全部習得するのは難しいので、まずはチームとして動けるようにする。そのためには「1+1」からで、そのためにどうすればいいか、という辺りを説明している。
説明の仕方も上手でなるほどと思うところが多い。事例も良い感じの紹介になっていて、納得感がある。
BTCではなくCに集中したものを「Classical Design」(ここのClasicalは古いではなく、尊敬を得ている、ぐらいの意味)。Classical Designは教育システムがしっかりしているのも特徴。
TがCを取り入れたのが「Design Engineering」。UIデザインとかがこれで、特にIT系ではとみに重視されるようになっている。
BとCの融合を目指すのが「Business Design」。
この3つがあるとしたうえで、BTCを融合させるには、TCやBCを経たうえでBTCを目指すという進め方になってくる。
また、「デザイン思考とは」という説明もあって、デザイン思考はチームで課題解決に取り組みのには向いているが、ブランドやスタイルを作るデザイン(これはClassical Designの役割)やそもそも論を考えるには向いていない。この辺の説明も良かった。
あとは具体的にどうするの、というところも幾つかアドバイスが書かれている。
- エンジニアがBTCを目指すなら、まずプロトタイピングを目指す。プロトタイプを使って、「デモ→結論→詳細→結論」という流れで説明すると承認プロセス対応にも有効。
- n=1のリサーチ、現場の深い観察(これはデザイン思考に近いと思う)
- ふせんトレーニング。赤・青・黄の付箋を使って、青(いい)、黄(わからない)、赤(だめ)に区別していくというもの。そして、良い悪いを言語化し、さらに結果をプロからアドバイスをもらうという風に進める。黄が多いのがセンスの無さを表す。(ただ、好き嫌いで二極化するのって、むしろ弊害が多いというのが最近の認識ではないかとも思う)
- ひく・みがく・たす。要素を絞り込み、絞り込んだ要素を磨き上げ、最後に少しだけ足す。これを意識的に行うようにする。(これ、実践が難しいような気がするけど)
- モノサシとデザイン・フィクションは。「モノサシ」は発想術でよくやるサイズを変える話。デザイン・フィクションは、一つ仮定を置いてその周りを詰めていくやりかた。
本書のCreativityはArtの方が個人的には腑に落ちるんだが、色々考えてこっちの言い方にしたのだろうかな。