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イノベーションスキルセット

 

イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き

イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き

  • 作者:田川欣哉
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2019/08/24
  • メディア: Kindle
 

 Takramの田川欣哉氏が書いたビジネス書。副題にある「BTC」というのは、Business、Technology、Creativity(Art)のこと。この3つが全部必要(BTCトライアングル)で、とはいえ全部習得するのは難しいので、まずはチームとして動けるようにする。そのためには「1+1」からで、そのためにどうすればいいか、という辺りを説明している。

 

説明の仕方も上手でなるほどと思うところが多い。事例も良い感じの紹介になっていて、納得感がある。


BTCではなくCに集中したものを「Classical Design」(ここのClasicalは古いではなく、尊敬を得ている、ぐらいの意味)。Classical Designは教育システムがしっかりしているのも特徴。

TがCを取り入れたのが「Design Engineering」。UIデザインとかがこれで、特にIT系ではとみに重視されるようになっている。

BとCの融合を目指すのが「Business Design」。

この3つがあるとしたうえで、BTCを融合させるには、TCやBCを経たうえでBTCを目指すという進め方になってくる。

 

また、「デザイン思考とは」という説明もあって、デザイン思考はチームで課題解決に取り組みのには向いているが、ブランドやスタイルを作るデザイン(これはClassical Designの役割)やそもそも論を考えるには向いていない。この辺の説明も良かった。

 

あとは具体的にどうするの、というところも幾つかアドバイスが書かれている。

  • エンジニアがBTCを目指すなら、まずプロトタイピングを目指す。プロトタイプを使って、「デモ→結論→詳細→結論」という流れで説明すると承認プロセス対応にも有効。
  • n=1のリサーチ、現場の深い観察(これはデザイン思考に近いと思う)
  • ふせんトレーニング。赤・青・黄の付箋を使って、青(いい)、黄(わからない)、赤(だめ)に区別していくというもの。そして、良い悪いを言語化し、さらに結果をプロからアドバイスをもらうという風に進める。黄が多いのがセンスの無さを表す。(ただ、好き嫌いで二極化するのって、むしろ弊害が多いというのが最近の認識ではないかとも思う)
  • ひく・みがく・たす。要素を絞り込み、絞り込んだ要素を磨き上げ、最後に少しだけ足す。これを意識的に行うようにする。(これ、実践が難しいような気がするけど)
  • モノサシとデザイン・フィクションは。「モノサシ」は発想術でよくやるサイズを変える話。デザイン・フィクションは、一つ仮定を置いてその周りを詰めていくやりかた。

 

本書のCreativityはArtの方が個人的には腑に落ちるんだが、色々考えてこっちの言い方にしたのだろうかな。