k-takahashi's blog

個人雑記用

SFマガジン3月号

S-Fマガジン 2007年 03月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2007年 03月号 [雑誌]

 2006年度英米SF賞受賞作特集ということで、「カロリーマン」(パオロ・バチガルピ)、「トゥク・トゥク・トゥク」(デイヴィッド・D・レヴァイン)、「I:ロボット」(コリイ・ドクトロウ)。

 個人的な一押しは「カロリーマン」。説教臭くない環境SF(説教臭さ皆無とは言わないが)。遺伝子組み換え作物がエネルギー需要を支える未来世界では、作物をおさえているバイオ企業が世界経済を支配している。SF性はほどほどだが、底辺よりちょっと上のあたりの人々の生活描写とか小舟でちまちまと進むシーンとかが興味深い。害獣としてチェシャ猫が出てくるところには苦笑。

 「トゥク・トゥク・トゥク」はエイリアンとの文化摩擦をコメディ風に描いた短編。慇懃無礼で自分勝手な昆虫型エイリアンが楽しい。
 「I:ロボット」は、個人的な話が作者の持ち味というのは分かるけれど、もうちょっと外枠を読みたかった。三原則を守らないロボットの方が有用で安全という視点は、アシモフ時代との差ということになるのだろうか。技術規制・監視社会ネタは捜査官が使うガジェットは面白いんだけど、調和会議の側の行動がちょっとステレオタイプ過ぎで、勿体ないと思った。


 連載のジャン・ゴーレとイリュミナシオンは、すみません、ちょっと飽きてきたので読んでません。