k-takahashi's blog

個人雑記用

今甦るハトシェプスト女王のミイラ

 原題は "Secrets of Egypt's Lost Queen"。先日ディスカバリーチャンネルで放映された番組をビデオ鑑賞。
 第18王朝の女性ファラオ「ハトシェプスト」。しかしながら、彼女のミイラは行方不明であり、彼女の記録もそのほとんどが抹消されている、謎に包まれたファラオである。そのハトシェプストのミイラを発見・同定するまでのドキュメント。


 エジプト内にある、身元がはっきりしていない女性ミイラを探し、可能性のあるミイラを4体発見。これらの中にハトシェプストがいるかどうか、の調査である。まず、肉親であるトトメス1世、2世、3世の3体のミイラをCTスキャンにより調査し、肉体的特徴を調べる。顔かたちの特徴と更に皮膚病を患っていた可能性が指摘される。
 次に問題の4体をCT撮影。一体が手の位置が王族の形式に沿っていないことが判明、また別の一体が死後しばらく放置されていたことが判明。この2体が候補から外される。
 次にDNA鑑定。この2体からは首尾良くDNAが抽出できたものの、トトメス1世からのDNA抽出には失敗。残念ながらこの調査は断念。
 ここで、調査の中心人物であるザヒ・ハワス博士が、ハトシェプストの内蔵を収めた箱のことを思い出し、この箱をCT撮影。すると中に歯が見つかった。この臼歯は脚が一本欠けた状態だったのだが、ミイラの一体には欠けたと思われる残りの脚がある。これがぴたりと一致し、遂にハトシェプストのミイラが判明した。


 政治面については、あまりはっきりした話は分からず。ミイラが同定できたことで死因が判明したが、どうも病死の可能性が高いとのこと。番組では、トトメス3世が自分の息子に王位を継がせるためにハトシェプストの名前を消して回ったという説を出していたが、私には説明不足に感じられた。もっとも資料が少なくて、色々推測が入ってしまうのは仕方がないのだが。


 他に描写として面白かったのが、崩壊しかけた墳墓の様子。狭苦しさというか緊迫感ありました。
もう一つはカイロ博物館。山のように資料があり、しかもきちんと整理されていないため、「あのミイラはどこだっけ」とか「あの箱はどこだ」とか散々苦労して探していた。発見したはいいもののろくに調査もせずに(写真すら撮られずに)しまわれているだけの資料も多数あるようだ。例の4体のうちの1体は箱を開けた途端に苦悶の表情を浮かべたミイラが出てきて周囲が唖然としていた。本当にこんなことがあるのだとすると、色々と妙なものがまだまだ大量に博物館にしまわれているかもしれない。よくネタにされるのがスミソニアンの倉庫だが、エジプトもネタになりそうだ。