k-takahashi's blog

個人雑記用

日経サイエンス 2016年12月号

特集が3つ。大隅良典先生のオートファジーの解説、シン・ゴジラの科学、人新世。


オートファジーは、大隅先生自体の紹介記事と記者会見のまとめ、そして2008年の論文「細胞を支える掃除役 オートファジー」(V.デレティック、D.J.クリオンスキー)の再録が載っている。この再録記事が面白い。免疫反応とオートファジーの関係や、オートファジーを悪用する病原体の話も。


シン・ゴジラの科学は、生物関係のハードSFとしてシン・ゴジラを捉え、その背景にある科学を紹介。
極限生物的に扱うなら当然出てくる長沼先生、放射線生物学の松本先生、JAMSTECの藤倉先生という納得の人選。こうしてみると、やはりシン・ゴジラには第5形態以降が設定されていたとしか思えないねえ。

デスルフォルディス・アウダックスヴィアトールのような微生物が原初の地球にやってきて生命の起源となり、約40億年に及ぶ進化の末、核エネルギーを扱える生物(人類)が誕生、その生物が集めた核物質を元手にゴジラのようなスーパー生命体が生まれたと言うようなフィクションも考えられる。そしてゴジラは恐竜のような姿の第4形態から、人類や鳥類のような第5形態へ、さらに進んで未知の第6形態へと変態を遂げて宇宙に飛び出し、生命を宿せる新たな天体を目指して飛散していくというようなシナリオを描けるかもしれない。(p.53)


人新世は、「人類の存在は地球の歴史に地質年代区分を残す。それが人新世だ」という話。例えば数億年後に地球の地質調査をしたとき、ここで一つ区切りが入るかという話題。この視点が既にSF的だが、さらに9つのトピックに分けている(今月号には、地質学、環境、人口、経済学、生命科学の5つを掲載。後半は来月号)。


ということで、3つの特集がことごとく面白いのでお薦め。売れ行きも好調だそうで、なにより。