議論のルールブック

議論のルールブック (新潮新書)

　微妙な本。いろいろなケースについてきちんと考えてまとめた一冊にはなっている。そして、「○○な人は議論に参加するべきではない」などと、議論をするために守らなくてはならない「ルール」を提案している。
この部分自体、きちんと考えているのは分かるのだが、やや細かい話をしすぎという気もしたし、疑問を感じる点もあった。が、著者が言いたいことは分かる。ある程度意識のある人が自分用のチェックリストとして「気づき」「振り返り」に使うなら有用な本になっていると思う。

　一方で、現実問題としてなんとかしなくてはならないのは、駄目な発言者、無意味な応酬などをどのように取り除いていくかということ。それを取り除こうとするとその行為自体が攻撃対象になってしまいがちで、スルーしようとしても、そいつがここでの議論を自分の都合の良いように捏造するのが容易に予想出来る場合はそうもいかない。こういう労多くして功少なしな問題をどうにかしたいと思う人にとっては、本書は「だからなんだ」という程度にしか役に立たない。

　一つの叩き台として捉えておけばよいのかな。