k-takahashi's blog

個人雑記用

現代戦術への道

 歴史群像アーカイブシリーズ第3巻は戦術解説。基本的には20世紀対象で、時系列順に解説を並べている。但し、記事自体は連載として掲載されたものではなく、独立して書かれた記事をまとめて一冊にした本。


 解説されている戦術は、まず「塹壕戦」。その補足解説として、機関銃の解説とクルスク戦でのパックフロント(島嶼状陣地戦術)。次に、塹壕対策として編み出された、「シュトース・トルッペン」と「戦車」。戦車の運用の革新であった「電撃戦」。戦車戦術を自国の状況に合わせて最適化したイスラエルの「オール・タンク・ドクトリン」。歩兵を戦車と一緒に運用するために生まれた「機械化歩兵」。近代戦術としての「ゲリラ戦」。電撃戦の再来としてとらえることのできる「ヘリボーン戦術」。圧倒的不利な状況下でソ連に対抗するために考案された、運動戦の革新「エアランド・バトル」。
 戦術の発展(当然ながら、新戦術は既存戦術に対抗するために編み出される)を追うことで理解を容易にしようという編集意図が伺える。


 一通りのことが書かれているのは良いのだけれど、そもそも個別に書かれた記事であり、執筆時期も散らばっているため、続けて読むと重複があったり、記述にズレがあったりする。そのため、入門用としては少々疑問符を付けざるをえない一冊になってしまったのが残念。
悪い本ではない(個々の記事は充分なでき)ので、買う場合はそこのところを承知の上でどうぞ。