- 出版社/メーカー: ジャパンミリタリーレビュー
- 発売日: 2013/06/10
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空幕装備部長に聞く
小野賀三空将補のインタビュー記事。空自の後方の現状や将来についてまとめてある。例によって、QAを並べる形式。
面白かったところを幾つか。
(空自の「後方」組織について)
空自の場合、これに加えて中央一元的な整備・補給機構があります。これが補給本部です。
従って、補給は、三自衛隊の中では空自が最も一元的になっていると思います。
(中略)
地域別の組織を有しないという点が特徴的です。
(p.30)
(F-35の影響)
最も大きなものは、Automnomic Logisti Global Sustainment ALGSです。
(中略)
その特徴としては、日本単独として部品を持つのではなく、全てのユーザー国が世界的な規模で部品を融通し合うという点にあります。
(p.31)
(PBLについて)
一般的に、PBLは、部品や装備品の修理期間を保証させる「リードタイム保証」、部品の在庫量を保証させる「在庫保証」、対象とする装備品の稼働率や運用時間等を保証させる「稼働率・可用性保証」、装備品を運用しての任務の達成度を保証させる「任務保証」の程度が評価の指標となっています。PBLの適切な実施には、これらの評価指数の数値に見合う妥当なコストの算定ノウハウが必要です。
空自は、平成二五年度からとりあえず実績のある分野で成果の見込み得るF-15のエンジン部品とT-7のキャノピーの整備について、PBLに着手することにしました。
(p.36)
航空自衛隊の尖閣上空航空撃滅戦(青木謙知)
5月号の尖閣記事に、なぜか中国が噛みついていたけれど、本記事は、自衛隊が尖閣上空で活動する場合の分析記事。
距離の関係でF-4EJの活用が難しいこと、空中給油機(KC-767J)にはブームが一本しか無いことや給油機自体の防衛の戦力も必要なことから劇的な効果は見込めないことなどが解説されている。
また、那覇基地の強化については、現中期防中に戦闘機二個飛行隊体制となることが予定されている。
あとは、「那覇基地が使えなくなったら」という課題もある。5月号の記事にも後方妨害のことに触れていたが、那覇基地の代替となると嘉手納ということになる。で、これは政治マターということに。
中国軍サイバー戦部隊「61398」(阿部琢磨)
2月に公開されたMANDIANT社のレポートを中心にした解説記事。
米国の状況なども紹介しており、米軍がIT関連予算を聖域化しようとして必要以上に本件を大きく取り上げたのではないか、との意見も紹介している。
一方中国側でも、ハッカー達が低い収入、拘束、低評価に苦しんでいる可能性が記されていた。
陸上自衛隊シリアPKFと10式戦車(三鷹聡)
陸自がシリアPKFに派遣されたら、というシミュレーション記事。
合わせて、現代市街戦での戦車ドクトリン「縦深機戦戦術」の紹介にもなっている。これは、「歩兵の支援を受けない戦車のみの市街地戦」(p.67)で、
作戦目標に対し、面でジワジワ制圧していくのではなく、火力で周囲を掃討しながら高速で突入し、前進限界点を制圧したらそこに留まらず素早く撤収する。第二陣が同じように再び高速で突入し、第一陣よりもさらに奥に突入する。このように槍を抜き差しするように突入と撤収を繰り返し、徐々に前進限界点を前に押していく戦法である。
(中略)
従来の市街戦では戦車を擁する攻撃側に対し待ち伏せする防御側が戦闘の主導権を取っていたのに対し、攻撃側が高速で火力を発揮しながら作戦地域を縦横に往復することで、逆に攻撃側が戦闘の主導権を取れるということである。
攻撃側の戦車は高速で移動するため、防御側の一撃離脱戦法では射撃できるチャンスが少なく効果が薄くなる。(p.67)
新構想「次世代弾道ミサイル防衛艦&水上基地艦」(多田智彦)
4月のネイビー・リーグ・ショウのレポート。
フォード級のクリティカル技術(QCDに大きな影響を与える技術)については、電磁航空機発艦装置(EMALS)、先進着艦拘束装置(AAG)、二周波数レーダー(DBR)は難航中。
DBRは駆逐艦の方も難航中。
軍事作戦に欠かせないデータリンクと通信中継(井上孝司)
複数の通信規格が混在せざるをえない軍用通信網。そのゲートウェイについての解説。
戦術データリンクの標準はLink16だが、UHF通信機であるため見通し圏内でしか使えない。だから見通し圏外で使えるようになにか工夫しないといけない。また、Link16対応していない装備もあるが、これも繋げないといけない。というのが基本的な課題。
衛星通信を使って見通し圏外通信を実現する S-TADIL-J、異装備間連携と見通し圏外通信を同時に解決するBACN、見通し内通信と衛星通信との中継を行うROBE、など。
アイアンフィスト13取材記 後編(菊池雅之)
ヘリボーンの撮影をしそこなったり、上陸支援射撃に驚いたりという記事。
海自幹部がいるのに気づき「来年は海自も参加か?」と予想したが、「ドーンブリッツ13」用の視察だった模様。
ドーンブリッツ13については、中国が止めろと横やりしてました。(記事)