k-takahashi's blog

個人雑記用

加藤大尉の英語ブートキャンプ

加藤大尉の英語ブートキャンプ

加藤大尉の英語ブートキャンプ

 福島正実氏の長男と言った方が、わかる人にはわかるかもしれません。米国防総省外国語学校日本語学部部長の加藤喬氏による英語教材。メルマガを再構成して一冊の本にまとめたもの。軍の言語学校で教えた経験を生かした内容になっていると言うところと、扱っている話題が軍関係のものというところとが軍隊式と名売っている理由。


 新兵訓練(文字通りのブートキャンプ)、空挺訓練、サバイバル訓練、ジェット機搭乗訓練、射撃訓練、冬期訓練、さらには士官クラブに出かけていって会食して忘れ物をして、なんていう想定の英会話もあるのが内容関連部分。

"I say again, Don't Panic"
(もう一度言う。パニックを起こすな)
軍曹が念を押します。軍では言ったことをくりかえすときに"repeat"は厳禁です。必ず"Say again"です。
"Repeat"は砲撃を再要請するときの表現だからです。忘れないでください。
(p.27)

こんな感じで、軍隊用英語の解説がついています。訓練内容の紹介と英語の解説が組み合わさったようなもの。実用性は、軍の仕事をする場合以外はあまり無いかもしれませんが、面白いのは面白い。(軍関係の映画を見るのには役立つかも)


 経験を生かしたという部分は、もう少し一般性がある。語彙不足は言い換えでカバーするとか、反復練習が大事とか言うのは一般的。ちょっと軍教育っぽい面もあり、学校での教育63週間の最初にこんなことを言うそうです。

「明日から本物の授業だが」
 初日、学生を解放する前に釘を刺すことにしています。
「この先63週間、決して口にしてはいけない言葉がある」(For the next 63 weeks, there is one phrase you can't say no matter what)
 学生等はお互いを見回し、笑いを浮かべます。卑語のことだとでも思ったのでしょう。
「まだ習っていません、というのはここでは通用しない」("I haven't learned yet" dosen't cut it here")
 不意を突かれた学生に追い打ちをかけます。
「単語にしろ文法にしろ、分からなかったら、君らが取るべき態度は、いま習いました、だ。いいね」(Be it a word or grammar, if yo don't understand it, the attitude you must have is, I just learned it now. Is that clear?)

実際の任務中に口にしてはいけない言葉は、訓練として口にさせないという意味があるそうです。

 怪しい伝説でおなじみの "Fire in the hole"も出てきます。ただし、本書では、手榴弾を投げるから援護しろ、という状況下での会話です。


 さすがに一般向けの英語教材とは言い難い面があります。軍関係に関心のある人が一石二鳥を狙って手を出すなら効果があると思います。