- 作者: 高野史緒
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/08/01
- メディア: 単行本
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ネット技術のみがいびつに発達した帝政ロシア支配下の江戸。ハッカーの町娘おきみは、吉原一の花魁・真理奈太夫から奇妙な依頼を受ける。元皇帝ボリスに暗殺されたはずのドミトリー皇子が秋葉原に潜伏している、その情報を収集してほしいと。公方様の落胤を自称する真理奈太夫は、ロシア皇后の座を狙っているらしいのだ。そんなある日、おきみは幕府の付け家老・シェイスキー公爵から、偽ドミトリーには関わらないよう警告を受ける。いったいロシア本土では何が起こっているのか? ペテルブルクで音楽修行中の幼馴染み・龍太郎の身を案じるおきみは、仮想空間ペテルブルクで謎の<赤い星>到来の噂を聞くのだが…… (あらすじ、より)
おまけに、「シベリア横断ウルトラクイズ」(「ペテルブルクに行きたいかー?!」 「KGBは怖くないかー?!」)で、巫女装束で、ネット広告だ。高野史緒、絶賛大暴走、いいぞ、もっとやれ。
やたらと色々なネタを詰め込み、そこから生まれる異様な世界が最大の魅力という点では、たしかに「ムジカ・マキーナ」路線の作品。感想を書こうとするとネタバレになるのでそこは避けておきます。一応歴史改変SFと言えば言えるけれど、変曲点を定めて、その後をロジカルに積み上げていくタイプではない。それは、序章でこう書かれていることからも分かる。
世の中には、あらかじめ分かりやすい回答をよういしてやらないと一篇の物語を読むことさえできない人たちがいる。賢者たちの中にもいるのだ。現実的な人々は皆そうだ。だが、矛盾するようだが、それでは現実を把握することはできない。何故なら、現実は分かりやすい回答を前もって用意しておいてはくれないからだ。おまえは賢い。だからこそ言っておく。回答は用意されていない。回答などというもの自体が妄想なのだ。物語はそう思って読み、人生はそう思って生きなさい。(p.20)
なので、本書に書かれた「現実」をそのまま楽しむのが良いのだろう。
しかし、彼(2人)がそれぞれどうなったのかは、少々気になる。