k-takahashi's blog

個人雑記用

インテリジェンスの極意

インテリジェンスの極意! (宝島SUGOI文庫)

インテリジェンスの極意! (宝島SUGOI文庫)

 宝島文庫ということで、際物かと思っていたのですが中身は非常にしっかりしていました。インテリジェンスとは何か、日本に必要なもの何か、ということについての対談・インタビュー集です。ここ2〜3年の「ワールドインテリジェンス」という雑誌記事を再構成したものが中心。
 目次は、こちらに紹介されています。


 例えば対北朝鮮のインテリジェンスについては、金日成が絶対視されている国であることを踏まえて、

金日成の著作あるいは発言を徹底的に集め、ファイルしておくことが必要です。それを交渉の切り札に使う。たとえば拉致問題だったら、「人々は自由の下で生きないといけません」「われわれはそのために尽力しているのです」という金日成の発言部分を引き合いに出し、「金日成著作集のどこそこにこういう言葉があります」と、日朝会談の場で小泉総理に言わせなければいけなかった。そうすれば向こうは「ああ、そんなところまで調べ上げているのか」となる。
 外交の場では、相手のことをよく知っている人間がいちばん怖がられます。なので、日本政府の北朝鮮担当者には、そういう情報をすべて把握しておくことが求められるのですね。(p.80)

といった感じで説明されて、なるほどと思う。


 具体的に日本が次に何をどのようにやるべきか、の部分となると、皆さんそれぞれ思うところあってのポジショントークなので、なかなか一筋縄ではいきませんが、そこはそれでまた読んでいて面白い。


 なるほどと思ったのは、茂田宏氏の発言。

インテリジェンス機能の強化という話をスタートする時点で、対外インテリジェンスと対内インテリジェンスを明確に峻別し、対外部門の強化だけに絞るということ、それに工作はやらないということ、この2点をまず明確にするべきだと考えています。
(中略)
やはり政治の道具にしないための措置です。実際、諸外国でも民主国家は大抵体外と対内で情報組織を分けています。
(中略)
その旧KGBや、あるいはかつての韓国のKCIAなどもそうですが、明らかに政権の手足になっていました。現在でも多くのアラブ諸国では、政権が体制維持のために対外・対内すべての情報活動を統括する情報機関を運営しています(p.241)

これを明示するのは、日本が第一歩を進めるには有用なポイントだと思う。