k-takahashi's blog

個人雑記用

狂気の山脈

狂気の山脈 (クラッシックCOMIC)

狂気の山脈 (クラッシックCOMIC)

 こちらもPHPクトゥルーコミック。
 こちらの目玉は、同時収録されているA・C・クラークの短編「陰気な山脈」。1940年の作品です。一応、ファーストコンタクトもので陰謀もの、なのかもしれない。


 例によって森瀬繚氏の解説が充実しており、ポウやベルヌと比較しながら、この秘境冒険もののラブクラフトにおける位置づけなどを紹介している。
今回面白かったのはラヴクラフトとSFのすれ違い。アメージングストーリーズ誌の1927年9月号に「宇宙からの色」が掲載されたが、原稿料は僅か25ドル。狂気の山脈にては、アウスタンディング・ストーリーズ誌の1936年2月〜4月号に掲載され、このときの原稿料は595ドル。ところが、編集者がラヴクラフトの原稿を無断で校正してしまい、それを不満に思ったラヴクラフトは二度と同誌に原稿を持ち込まなかった。
 なお、クラークが読んだのは、この掲載時の原稿。


 そうだ、一つ私の勘違いを修正してくれる記述があったので引用。

さて、「狂気の山脈にて」においても、ラヴクラフトは"Great Old One"を登場させている。
しかしながら、今回はクトゥルーの眷族でも神々でもなく、数十億年前にまだわかい地球に飛来し、この地に定住した最初の「地球人」、樽状の「古のもの」の呼び名なのである。
今日、「古のもの」については "Elder Thing"という英語表記が定着しているが、これはTRPGによって普及したものである。この種族がはじめて登場した「狂気の山脈にて」では、彼らは"Elder One"、"Great Old One"、など、幾通りもの呼び方をされているのである。
なお、「狂気の山脈にて」と同じ年にラヴクラフトが執筆した「インスマスを覆う影」では、どうやらクトゥルーの崇拝者であるらしい「深きものども」と呼ばれる半人半魚の種族が登場する。この種族を退け、打ち倒す力を持つ存在として"Old One"の名前が挙がっている。(p.38)

最初から Elder Thingだったと思い込んでました。