k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2010年12月号

Newton (ニュートン) 2010年 12月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2010年 12月号 [雑誌]

 特集はホモ・サピエンスの頭脳。人間の脳で特に他の動物と際だった違いのある4カ所、「下頭頂小葉」(抽象概念を扱う)、「ブローカ野とウェルニッケ野」(言語を操る)、「前頭極部」(推論を扱う)、「前部帯状回」(「心の理論」)についての説明も書かれている。

 「脳化指数」というのがあり(p.26)、体重と脳重量の比が平均からどのくらいずれているかを示すのだそうだ。人間が7、イルカが5、チンパンジーが3なのだそうだ。こんな数字があるのか。
この脳の巨大化については、咀嚼筋という筋肉が小さくなったことがきっかけかもしれないという説があるのだそうだ。頭蓋の横の筋肉が小さくなったことで脳を広げることができたという話で、チンパンジーとの比較とか色々と遺伝子の影響を調べてみてみつかったものらしく、この変化が240万年前だとか。


 特集合わせのインタビューは「脳の中の幽霊」でも知られるヴィラヤヌル・ラマチャンドラン博士。ヒトにはヒトだけが持つ独自の脳の構造があり、それが知能に影響しているという説を語っている。
共感覚の話からクロスモダリティへとつなぎ、そこから「最初の言葉」の生まれの話になる部分は面白かった。最初に単語が生まれたとき、それは形状が自動的にある種の音声を産んだのだ、という説で「ブーバ・キキ効果」というのが根拠の一つになっている。音声言語にせよ、文字言語にせよ最初の一歩はものすごく大変な飛躍が必要だが、その飛躍を助ける効果ということになる。リンク先のwikipediaの図を見ると結構納得できると思う。


 根岸さん、鈴木さんのノーベル賞合わせでクロス・カップリングの簡単な解説記事も載っていた。根岸博士はパラジウム亜鉛と使って正確なカップリングを実現し、鈴木博士はホウソを使うことで安定したカップリングを可能にしたということらしい。
そして、カップリングの研究は今も進んでいて、触媒として鉄やニッケルと使う研究や、副生成物が水になるような方法の研究が行われている。


 リビアに残るローマ・ギリシャ遺跡群の写真は興味深かった。政治問題や専門家不足のためきちんとした発掘や保護ができていない状態なのだが、こんな立派なのが残っていたのかと感心。