k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2012年01月号

軍事研究 2012年 01月号 [雑誌]

軍事研究 2012年 01月号 [雑誌]

写真ページには、10月から11月にかけて実施された、陸上自衛隊北部方面隊による協同転地演習の様子が紹介されている。73式装甲車を列車に積み込む様子や、走行している列車の写真が面白い。
高速フェリー「ナッチャンWorld」に90式戦車が乗り込む様子の写真もあり、こちらには、砲塔の取り回しを工夫している様子なども紹介されていた。どちらも面白い写真。


米軍におけるスマートフォン導入についての記事「米軍・国防総省の『スマートフォン戦争』」(阿部琢磨)では、軍用機向けEFB(電子フライトバッグ)のところが面白かった。最も安価なクラスのデバイスがなかったのが、民生用タブレットでそれが可能となり、ジェプセンという会社では本格的なアプリ開発と販売に成功したのだそうだ。
他に、スマートフォン向けの軍用アプリとして、「MORIS」(顔認識)、「タクティカル・ナビ」(地図)、「バレットフライト」(狙撃計測アプリ)も紹介されていた。


元海自技術開発官幸島博美氏による「そうりゅう型」の解説記事、元空自計画担当宮脇俊幸氏による「BMD」の解説記事、はどちらも歴史的経緯を踏まえた検討・開発の流れを語っていて面白かった。兵器の開発は時間がかかるので、色々と変化に対応するのも大変そうだ。
(上述のスマートフォンについては、あまりに変化が早く米軍ですら振り回されているが)


自衛隊の海外派遣について解説しているカラーページ中にあった、この地図は分かりやすかった。
(p.142より引用) 



第二次世界大戦における日本の諜報活動に学ぶ』(橋本力)は、前大戦中における日本の諜報活動全般の完敗振りを解説する記事。民間人ネットワークの活用も、集めた情報を本国に送るための方法も、できていなかった。それは準備不足・訓練不足に起因するものだが、文化的側面もあった。

イギリスで機密解除きれた記録の中に第二次世界大戦中の日本の諜報および謀略活動に対して興味深い記述がある。それは、活動に影響する文化的な側面に触れ、「望む結果が得られないのは努力不足」とする傾向にあったことを指摘していたことである。
つまり諜報にしる謀略にしろ、根本的に誤ったものを標的としていれば、いくら資金と労力を消費しても望む結果が得られないわけであるが、それを「努力不足」として片づけてしまう問題を抱えていると示唆しているのである。(p.229)

現在、日本でもインテリジェンスの強化が指摘されているが、上述のような歴史にきちんと学んでいるのか、そもそも何を求めるのかはっきりしているか、偽情報を掴まされる可能性を念頭に置いているか、などという疑問を提示している。