Newton (ニュートン) 2012年 04月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ニュートンプレス
- 発売日: 2012/02/25
- メディア: 雑誌
- 購入: 2人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
宇宙の10大法則
特集は「宇宙の10大法則」。記事中で10大とされているのは、
・ケプラーの法則
・万有引力の法則
・運動量保存則
・角運動量保存則
・ウィーンの変位則
・エネルギー保存則
・エントロピー増大則
・E=mc^2
・一般相対論
・ハッブルの法則
の10個。
これに加えて、これらの法則に従わない現象として「宇宙の膨張の加速」現象を解説した上で、昨年のノーベル物理学賞受賞のソール・パールムッター博士のインタビューという構成になっている。
インタビューで面白かったのは、宇宙の膨張速度を測定する方法がずっと分からなかったというところ。1930年代のアイディアが、1980年代のオクラホマ大学のデビッド・ブランチ教授の発見によって実現可能となったというところ。半世紀近くたってやっと測定できるようになったわけだ。
小澤の不等式
測定できるようになったと言えば、例の「小澤の不等式」の解説記事も出ていた。
実は、ハイゼンベルクの不等式は証明されていなかったのだが(証明されていたのは、ロバートソンの不等式)、確かめる方法がずっとなかった。
それが、重力波の検出限界という問題を通じて、検出できる問題であることが分かった。重力波干渉計の性能限界を極めるとハイゼンベルク式が成り立たない領域が掴めるのだ。
測定(実験)と理論は物理の両輪ということがよく分かる二つの記事だった。
アレルギー
時節柄ということでアレルギーの記事もあった。
治療法の一つである「免疫寛容」が難しい理由(アナフィラキシーショックを起こす危険がある)も解説されていたが、ショックを起こさないワクチンを理化学研究所が開発中という記載もあった。
ぜんそく(アレルギーの一種)での死者が日本だけで毎年2500人ほどあり、アレルギー対策の研究は進められているようだ。
アレクサンドロス大王の遠征路
紀元前4世紀のアレクサンドロス大王のペルシャ遠征の際のルートはローマ時代に書かれた文献をベースに分析されていたが、検証が不充分だということで、帝京大の森谷公俊教授と写真家の鈴木革氏が協力して現地調査に乗り込んだという記事。
イラン国内という外国人が調査するには困難な土地だが、そこを鈴木氏の経験でフォローしていったということのようだ。
そして、通説とは異なる場所に文献の記載にマッチする場所を発見したという記事になっている。(通説のファーリアン渓谷よりも北にあるメーリアン渓谷だ、というのが森谷教授の説)
もちろん、検証はこれからだけれども、切り立った地形のとかの写真は迫力ありますね。