Newton(ニュートン) 2017年 04 月号 [雑誌]
- 作者: 高嶋秀行
- 出版社/メーカー: ニュートン・プレス
- 発売日: 2017/02/25
- メディア: 雑誌
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宇宙創成の光
宇宙背景放射の解説記事。
古いアナログテレビの「砂嵐」の1%程度が背景放射のものだとは知らなかった(現象としてあるのは聞いていたが、もっと遙かに小さいと思ってた)
COBE、WMAP、Planckの測定結果、そこから宇宙の成分や年齢がわかること、インフレーション説が出てきた理由、Bモードができる理由、Bモード観測の最前線、といった紹介の流れになっている。
BICEPはシャオリン・クオ准教授(原始重力波強度が0.01より大きければ3年以内に検出できる)、POLARBEARはエイドリアン・リー教授(重力レンズによるBモードは観測済み)、LiteBIRDは羽澄昌史教授(2020年代半ばの打ち上げを目指して設計中)、がそれぞれインタビューを受けている。
連載
細胞分裂連載は最終回のがん。最近よく耳にする「がん幹細胞」はまだ仮説で、「がん起始細胞」という言葉の方が論文では多いそうだ。iPS細胞とがん細胞の関係もがん抑制遺伝子p53との関連を説明している。無いとがん化するが、抑制しないとiPS化困難というところが難しい。
炭素の第2回は有機化学概論。高校の化学の教科書だととっかかりがこの辺なのかな。
ベビーマンモス・リューバ
2007年に発見された、冷凍保存状態の赤ちゃんマンモス。その測定の様子や断面写真などの紹介。
サイズ的に普通のCTに入らないので、改造する必要があったそうだ。
「眠っているかのような」リューバの写真も掲載。
短信
- カロリー制限でやっぱり長寿?(p.5)
アカゲザルでの効果を巡っての論争が一応決着。2つのグループが実験条件の違いを確認したというもので、効果有りという結論。但し、ヒトでの評価はこれから。
- 野良ブラックホール(p.11)
ブラックホールは近くの恒星とセットで発見されるのが大半だが、それがない場合はどうするか。紹介されているのは、超新星残骸にブラックホールの影響らしきものを見つけたというもの。
- 月の形成に新説(p.12)
いわゆるジャイアントインパクト説では、月と地球の酸素同位体組成が似ていることの説明ができなかった。
提案されたのが、20回程度の小衝突で徐々に月ができたという説。衝突確率はジャイアントインパクト説より高い。
- 近視と紫色の光(p.13)
近視のメカニズムは分かっていないのだが、屋外によく出ている人ほど近視の進行が遅いという報告はあった。普通に考えたら、スポーツやら読書やらの影響を疑うところだが、360〜400ナノメールの紫色の光(VL)の影響ではないかという記事。
眼軸長ののびとVL遮断との間に関係があったというもの。